記憶97 ページ6
立花仙蔵の声が響いた。
その内容を確認して、保健委員会委員長の善法寺伊作は落胆した。
「鍵は作法委員会が見つけたみたいだね……」
立花の方を見ると、そこは先程まで保健委員会が捜索をしていたところだった。
もっとよく探せばよかったと、さらに落ち込む。
「伊作先輩、残念でしたね」
「うん、でも仕方ないよ」
普段から不運な善法寺含む保健委員会はこういったことも慣れっこなのだ。
そのため、立ち直るのも早い。
皆、すすだらけになりながら探した。
周りの者を確認しても所々黒くしている。
ここは村だ。
村があるということは、近くに川があるということを意味する。
「すす、落としたいね」
真っ黒ですもんね、と猪名寺乱太郎は答える。
(六年生で話し合ってみよう)
そう思い善法寺は同学年の六年生を呼び集める。
すすもついているが、汗もかいている。
六年生は皆その意見に賛同した。
しかし、そうなると一つ問題が出てくる。
「Aちゃん、どうしようか」
皆黙りこくってしまう。
そう、彼女は女子だ。
誰かと関係がある訳では無いが、年頃の女子と男子がともに水浴びというのは気が引ける。
かといって、彼女だけすすだらけのまま歩かせるのも、全員で服を着たまま水浴びともいかない。
(気まずくなる質問をしてしまった……)
心の中で善法寺は反省するが、これは誰かが触れなければならない問題だった。
「本人にどうしたいか聞けばいい」
シンとした空気の中、七松小平太は当たり前のように言い放つ。
結局、それしか解決方法は無さそうだ。
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月13日 19時