記憶127 ページ36
「ゆっくりでいいからね」
「はい。……あの、何故私がこんなことを?」
何となく予想はついたが、一応聞いておく。
推測が全てからぶったのはついさっきの事だ。
「五、六年生の実技試験に参加することは知っているわよね? その時に着る服が気慣れていないと思ったから。そんなにもぎこちなかったら、怪しんで近づいてくるものも来なくなるわ」
今回は私の推測は当たったようだ。
学園内の散策も兼ねて歩くと言われたが、広い学園をこんな動きずらい服で歩いていたら夜になってしまうのでは。
「早く歩こうとしないの」
気持ちが行動に出ていたのか注意される。
落ち着いて歩く早さを元に戻すと、山本さんは「いい感じよ」と笑った。
廊下を歩いていると、向こう側から伊作さんと立花さんが歩いてくるのが見えた。
こちらは山本さんと横並びになって歩いている。
そして向こうの二人も横並びで歩いていた。
邪魔になると思い、山本さんの後ろにつこうとしたのだが、せっかくだから見てもらえと彼女は私を逆に前に出す。
何か話していたようだったが、二人は同時に私に気付いた。
「わあ、似合ってるね。どうしたの?」
「馬子にも衣装だな」
伊作さんは褒めてくれたのに対して、立花さんは貶してきた。
「それが褒め言葉ではないことをご存知ないんですか?」
社交辞令でもいいから褒めるべきだろ。
そう思って仕返しのつもりで軽く挑発する。
「知ってて使ったのだ」
本当に嫌味な人だ。
立花さんは放っておいて伊作さんに説明をする。
ペラペラと話していいものかと悩んだが、ヘムヘムが問題ないと言っていたし良しとした。
「それって結構危ないんじゃ……」
伊作さんが眉間にしわを寄せて眉を八の字に歪める。
「あら、そこはあなたたち六年生の腕の見せどころでしょ?」
「こんなに可愛いんだから、気を抜いてたらすぐにかっさらわれちゃうわよ」と私の肩を掴んで引き寄せて言う山本さん。
彼女自身は冗談で言ったのだろうが、かっさらわれるとか、今回ばかりは洒落にならない。
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月13日 19時