記憶126 ページ35
「紛らわしい言い方をしてしまったようで」
「いやいや、こちらこそ勝手に勘違いして」
私の言葉の意味も理解してくれたようで、二人は今は落ち着いている。
そしてようやく久々知さんにくないが返せた。
「わざわざ綺麗にしてくださったんですね。ありがとうございます」
初顔合わせの時はどうなることかと思ったが、お礼も言えるとてもいい子だ。
気にしないでくださいと残して、私は山本さんと部屋に戻った。
___________
部屋に戻ると山本さんはキラキラした顔で言い放った。
「さっ、服を脱いで貰える?」
誤解を生まない言い方をして欲しい。
彼女の持ってきた着物から察するに、多分あれを私に着せるつもりなのだろう。
先程久々知さんと山本さんを誤解させた私が言えることではないかもしれないが、山本さんも相当言葉足らずだ。
言っても仕方ないことなので、私は大人しく服を脱ぐ。
同性同士と言っても少しも恥ずかしくないわけではない。
さらに山本さんはかなりスタイルがいい。
反面私ときたら――。
虚しくなるだけなのでやめた。
「じゃあこれに袖を通して」
案の定私には綺麗な着物が着せられた。
手際よく私に着物を着付ける山本さん。
時折苦しくないかと聞かれるが、すべてに大丈夫と答えた。
この時代での着物の価値が分からないため、私の個人的な感じ方による判断になるのだが、随分と高そうな着物だ。
こんなものを着せてどうするつもりなのだろうか。
――されるがままだったためほぼボーッとしていた。
そしたら着付けはいつの間にか帯を締めるところまで進んでいた。
この帯もかなり高そうだ。
「はい、出来た。動ける?」
「な、なんとか……」
苦しさなどは感じないがとても動きにくく、胸や腰周りをぎゅうぎゅうと締め付けられているせいか、息がしづらい。
さらに、足も大きくは広げられず自然と歩幅が狭くなり歩きにくさを感じる。
「ぎこちないわね。少しでも慣れるように学園内を歩きましょうか、散策も兼ねて」
「はい……」
昔の人はこんなので歩いていたのか。
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月13日 19時