空っぽを埋めるモノ３【RKRN】 (ページ32)

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記憶123 ページ32

｢どう思った？｣

｢何が｣

部屋を後にした尾浜勘右衛門と鉢屋三郎は話をしている。

｢Aさんについてだよ｣

｢勘右衛門までその呼び方してるのかよ｣

内容は鉢屋が毛嫌いしており、先程までいた高坂Aについてのようだ。

｢俺はあんまり悪い人には思わなかったなあ｣

頭の後ろで手を組んで歩く尾浜は、少女に対して悪い印象は抱かなかったようだ。

しかし鉢屋はそれを許さない。

｢お前学級委員長だろ？そんな簡単に絆されてどうする｣

尾浜は5年い組、鉢屋は5年ろ組で学級委員長を務めている。

そんな鉢屋を尾浜は細めた目で見つめる。

｢なんだよ｣

｢別に。ただ、学級委員長っていうのが人を嫌う理由にはならないよなって思っただけ｣

二人の間に微妙な空気が流れる。

(俺だって学級委員長だから嫌ってるわけじゃない。先例が酷かったんだ、易々と受け入れる訳にはいかないだろ)

鉢屋はこの学園の生徒が優しいことが分かっている。特に下級生はすぐに人を信じる傾向があった。

自分に対してもそうだ。

今までの天女騒動では鉢屋のせいで怪我を負った下級生もいる。

そんな生徒達も鉢屋のことを軽蔑したりはせず、謝ったら許した。

(あんなことを繰り返さない為にも、私は……)

俯いてしまった鉢屋に今度は優しい視線を送る尾浜。

｢あんまり責任感じるなよ｣

｢いって｣

尾浜はバシンと鉢屋の肩を叩いた。