記憶122 ページ31
「話しにくい内容なんですか?」
言葉に詰まっている尾浜さんにそう尋ねる。
話せないということは、私がその役目を負わなくてもいいということになるのではないだろうか。
私の言ったように、鉢屋さんや他の人が女装して女性役をすればいいということに気付いたが言い出せないのではと推測する。
「……その後が問題なんですよ。攫われた人達のその後が」
いつまでも答えを言わない尾浜さんに痺れを切らしたのか、鉢屋さんが答えてくれる。
攫われたその後というとやはり――。
「……売られる?」
「どこに?」
これくらいの時代がそういった行為を取り締まっているのかどうか分からないが褒められるものでは無い。
危ない橋を渡ることになるのだからそれ相応の額を貰うだろう。そうなると金持ちしか考えられない。
「貴族や城のお殿様ですか?」
おめでたい頭ですねと鼻で笑われる。
そんなに馬鹿にしなくてもいいじゃないか。
これでも考えた方なのだ。
「遊女として売り飛ばされてるみたいですよ。だから、本当の女じゃなきゃならない。相手もプロだ。首や手の骨格なんかでバレるんでしょう」
私の予想は全て外れていた。
それで言いにくそうにしていたのか。
「ヘムゥ?」
「えーと、断るか? だそうです」
再び通訳者として役目を果たす尾浜さん。
ヘムヘムは困った顔をしていた。
「どうして? 確かに危険ではあるけど、私が適任なんだろ? こっちは居候の身なんだし手伝えることがあるなら協力するよ」
もともと断るつもりなんかなかった。
ただ間違いはないのか確認をしたかっただけ。
私がその役をするとなると、試験をする人達が戸惑ったりして力を出し切れない恐れがあったため私でなければならないのか聞いたのだ。
そしてどうやら間違いではないらしい。
「当日はよろしくお願いします」
当事者になる尾浜さんと鉢屋さんを見て挨拶をした。
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月13日 19時