記憶118 ページ27
「あっ」
帰り道、偶然にも例のヘムヘムを見かけた。
声に反応して振り返るとこちらに気付いたようで、妙な鳴き声をあげる。
「ヘム」
ちょうど良かった、聞きたいことが山ほどあるのだ。
時間はあるかと確認するとこくんと大きく頷くヘムヘム。
本当に知能指数が高い。
助かった、これで試験への参加だとか攫われるだとかの話が詳しく聞ける。
「問題は、私にも君の言っている言葉が理解できるかだな……」
屈んでそう問いかけると、「ヘム! ヘムヘム!」と身振り手振りで何かを話してくれた。
……なるほど、さっぱり分からない。
「文字は書ける?」
「……通行の邪魔なんですが」
後ろからそう聞こえ、申し訳なくなる。
細い廊下の一部を占領するように私たちは話していたのだ。
通ろうとすれば通れそうだが、これに関しては私たちに非がある。素直に謝って道を譲りながら振り向く。
「すみませ――」
固まる。
もちろん比喩表現だ。冷凍されてカチコチになった訳では無い。
しかし、私の心臓はこれ以上ないほどに冷え切った感覚になる。
何故なら、鍵捜索の日小平太さんに"尾浜勘右衛門"と呼ばれていた子と、視線の冷たさで判断しただけだが、鉢屋さんが居たからだ。
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月13日 19時