記憶117 ページ26
「攫われる……?」
「あ、これは内緒だったんだ。今のは忘れてください」
口に手を当てて、しまったという顔をする綾部くん。
いや、しまったではなく、いっけねくらいの表情だろうか。
(忘れろと言われても……)
内容が内容なのだから無理がある。
いい加減さに半ば呆れていると、綾部くんは突然立ち上がった。
「さて、僕は穴掘り……やることがあるのでお暇します。お茶とごみの片付けはお願いしますね」
「今、完全に穴掘りって言ってたぞ」
誤魔化せるわけがない所まで言い切ったのに、何故まだいけると思ったのか。
そして本当に全てをそのままにして行ってしまった。
勝手に来て、茶を用意させられ、任された伝言も忘れかけられ、さらには片付けまで私にさせようとは。
(完全に舐められてる)
仕方がないので、手を伸ばして菓子を包んでいた紙を手に取り部屋のごみ箱に捨てる。
続いて、丸盆に二つの湯のみと急須を乗せて食堂へと歩く。
戻すくらいしてくれてもいいじゃないか。
だいたい穴を掘るのが用事と言うのであれば、私だって人に物を返しに行かなければいけないという用事があるのだ。
道中、心の中で不満を並べる。
私の顔が強ばっていたのか、食堂ではおばちゃんに何かあったのかと聞かれたが、小さい奴だと思われたくなかったので何も無かったと答えた。
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月13日 19時