記憶115 ページ24
形として気持ちを貰えるのはわかりやすくて有難いが、私は本当に気持ちだけで嬉しいのだ。
｢僕だってこの後ご飯なんですけど｣
｢綾部くんは育ち盛りなんだから、それくらい食べられるでしょ？｣
なんだか納得してない様子で｢あなたがいいならいいですけど｣と、彼は一つ目を食べ始めた。
｢後からやっぱりくれって言われてもあげませんからね｣
｢言わないよ｣
苦笑しながら返す。
私はどういう目で見られてるのだろう。
そんなに意地汚いやつと思われているのだろうか。
｢私もいただくね。ありがとう｣
沢山の量を無理して食べると戻してしまうが、このくらいならなんともない。
味も分からなければ食感も分からないが、目の前の綾部くんがあまりにも幸せそうに食べるので、私まで嬉しくなる。
咀嚼を終えて飲み込んだところで茶を口に含む。
｢美味しかったよ。ありがとう｣
｢喜んでいただけたなら良かったです｣
……さて、ここからどうするか。
客人として来たなら私は彼が退出するまでいるべきなのだろうが、人に見られながらの食事はしにくいだろう。
今のうちに返してきてもいいだろうか。
そんなことはまずないだろうが、部屋を荒らされても荷物を見られても困るような物も無い。
数分私が部屋から出ても何も問題は起こらなそうだ。
(……聞いてみるか)
｢綾部くん、少し席を外しても――｣
｢そう言えば五、六年生の実技試験に参加されるそうですね。頑張ってください｣
タイミング悪く、同時に喋り出してしまったため譲るように言葉を止める。
(……ん？)
｢今、なんて言った……？｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 258人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：小学７年生 | 作成日時：2020年1月13日 19時
