記憶85 ページ40
「……」
「……」
私は保健委員会、用具委員会、火薬委員会と一緒に第二陣として出発した。
(まさか久々知さんが本当に火薬委員会だったとは)
あの後、既に揃っていた保健委員会は用具委員会と合流して火薬委員会を待っていた。
遅れてすみませんと走ってきた火薬委員会のメンバーはたった四人しかいなかった。
一番印象が強かったのは忍者なのにまさかの金髪という子。
乱太郎くんに聞くと斉藤タカ丸さんといって、もともとは髪結を目指していたが実は忍者の家系だったことが後に判明。
その時から忍術学園に編入してきたため、年齢的には六年生なのだが四年生として授業を受けているらしい。
そんなこんなで出発。
私のことをよく知らない人の方が多いため、狼狽させて迷惑をかけるのも嫌だと伊作さんと食満さんに説明して、一番後ろからついて行くと言った。
二人とも了承したが、何故か久々知さんがその後ろからついてきているのだ。
本人曰く、途中で逃げ出さないよう見張るためらしい。
そんなことするはずないのにと思いつつも、久々知さんの行動を制限できる権限など持っていないので、やりたいようにやってもらっているのだ。
たとえ後ろにいても睨まれているのは何となく分かるので居た堪れない。
このなんとも言えない空気感の中でただ一人、状況が分かっていないのか、それとも和ませたいだけなのか、ヘラヘラと笑って久々知さんに話しかける者がいた。
前述にある、斉藤タカ丸さんだ。
彼は久々知さんの横を並んで歩いている。つまり彼もまた、私の後ろをついてきているのだ。
「ねえ久々知くん、もし予算増やして貰えたら何に使おうか」
「……タカ丸さんはどうしたいですか」
「え、僕? 僕はやっぱり甘酒代として使いたいなあ」
「ならそれでいいと思います」
二人の様子は見えないが、久々知さんは真剣に悩んであげているのだろうか。せっかく話題を提供してもらっているのだからもっと会話を広げればいいのに。
視線が気になり、ちらりと後ろを振り向くと二人と目が合った。
久々知さんはその事など気にもしない様子で逸らすことなく睨んできている。
私に気づいた斉藤さんはこちらを向き、ひらひらと手を振る。
私はそれに軽く会釈をして前を向いた。
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作者名:小学7年生 | 作成日時:2020年1月8日 20時