検索窓
今日:26 hit、昨日:29 hit、合計:20,263 hit

6話 ページ8

「ねーえー!だーかーら、僕は紫桜が一緒じゃないと行かない!」

後ろの方で乱歩さんが騒いでいるのが聞こえる
もう、困った人なんだから

でも必要とされるのに悪い気はしない

「で、でも乱歩さん!乱歩さんの力が必要で……」

「い、や!僕はねぇ、紫桜か社長とデートっていう体じゃないともうどこにも出かけない!」

『……乱歩さん』

「あ、紫桜ー!」

私が声をかけると顔を輝かせてくれる乱歩さん
……そうやって優しくされる度に、胸が詰まるみたいに苦しくなる

あぁ、社長と乱歩さんのことも、探偵社のみんなのことだって、1人除いて私は大好きなのにな

それでも私の居場所はここではないのだから、しょうがない

もうずっと昔に、社長とは道を違えている
乱歩さんとも、そう
……許せなかったのは、私だけだから


『どうしたんですか、今回は』

「聞いてよ紫桜!谷崎がこの僕にひとりで事件に行けって言うんだよ!?
僕は紫桜か社長と一緒じゃないとぜーったいに行かないね!金輪際だ!!」

『乱歩さん、もう……わがままばっかり言ってたら、社長に叱られてしまいますよ』

「でも……」

『……しょうがない人、なんですから。それじゃあ、これで我慢してくださるかしら』

乱歩さんの頬に触れて、一撫で
それから彼の額に触れるだけのキスをする

少し恥ずかしいけど、あの乱歩さんがこれでお仕事をしてくれるなら安いものだ

「……口には、してくれないの?」

ほんのりと頬を赤らめて、上目遣いで聞いてくる彼
おでこや頬にキスしたあとはいつもこうだ

でも、私の答えも決まっていた

『ごめんなさい、心に決めた方がいるの』

正確には、“いた”だが
それでも私はまだ彼のことを、思っていたくて

そんなことを彼が望んでいないなんてのはとうの昔に分かっている
幸せになって欲しいと願われた
彼の傍にいることだけが私の幸せだったのに、酷い人
……ほんとうに、ひどい、人だった


優しいフリして、いつも酷いことばかり言って


……私にも、呪いばかり遺していったから
私、まだ何も許せていないの

_幕間、2話→←5話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (101 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
180人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

メイデーア - ゆ、夢花……おま、夢主様のこと好きなレズなんか?まあいいんやけどな??まぁっさか、復讐の相手がよさーさんとはねー。立原春蝉様が神すぎて泣きますわ。つか優しすぎんぁ優しすぎん?幸せに生きてほしいってよお……もう結婚したい男No. 1だぜ、あんたはよぉ…… (4月22日 15時) (レス) @page23 id: 8fc649d94d (このIDを非表示/違反報告)
唯月(プロフ) - 更新ファイトー (2月3日 18時) (レス) @page23 id: e29621fb11 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - 国木田さん!!!肩に鋏って!!おま、!良すぎてやばい!! (2月1日 0時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
朱鷺 - 百合いいねぇ❤ (1月30日 8時) (レス) @page22 id: b34111cf4c (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - 国木田さん。!!!結婚してくださいッ!! (1月25日 22時) (レス) @page21 id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:riizumi7 | 作成日時:2024年1月14日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。