労基が適用されない事務員【文スト】

9話 ページ10

江戸川side＿＿

「ぐすっ、私、正直もう限界……！」

「芙羽梨さん……」

華咲芙羽梨が泣いている
そしてそれを慰める探偵社員

……というのが、社に帰ってきた僕が見た光景
ぱぱっと超推理をすると、紫桜のことは春野さんと賢治君が見ていてくれているようだった

社長のものに手を出すなんて、今の探偵社も落ちたものだな

そもそも社長は紫桜のことをそれはそれは溺愛してる
裏では紫桜のこと天女とか猫とか呼んでるし、いや、なんで天女と猫が同列に並ぶのかはともかく

「全く、何してるんだか。国木田〜紫桜は？あとジュース入れて」

「はい、乱歩さん。紫桜は少し休憩です、賢治と春野がついているので大丈夫かと」

狼狽しながらも僕にジュースといつものお菓子を出す国木田
……国木田はちょっと揺れてるみたいだ

最初は芙羽梨の味方についてたけど、さすがに紫桜が過労で倒れたことについては思うこともあるらしい
何よりちょっとムカつくけど、社長の一番弟子……だから、社長から何か言われているのかも
社長の名探偵は僕なのに！

で、芙羽梨の目的は多分紫桜を辞めさせること
……気に食わないんだろうな
紫桜、社長に可愛がられてるし、仕事もできるし

でも多分、というか絶対紫桜は辞めない
紫桜も紫桜で、社長のことしか見えてないし

社長が好きなのはわかるけどあそこまで行くともう依存……というか、崇拝みたいなものだ

彼女が昨日言い切った、「お前らなんて大っ嫌い」もそう
……難儀だと思うけど、紫桜はそうしないと生きてけないんだからしょうがのかな

……とはいえ僕も、周りの全てが怪物に見えてた時期はあったし
…………僕に、何かできないかな

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