労基が適用されない事務員【文スト】

6話 ページ7

……最悪のタイミングだけど、こればっかりはしょうがない
だってマジで嫌いなんだもん

いやほんとに嫌い
もはや生理的嫌悪まである

というか私、人間なんてそもそも好きじゃないし
昔っから舐められやすくって良くいじめられるし、仕事押し付けられるし

人間って1度下に見た相手にはどこまでも残酷になれるものだと思う
だから人間なんて大嫌い
私のことを嫌いな探偵社の人なんてもっと嫌い

……でも、社長だけは別

ほんとに、ほんとにどうしようもないくらい好き
優しくてかっこよくて、いつも落ち着いてて……
私、この人のためならなんだって出来ると思っちゃった


実際、なんでもした

124連勤したし、1ヶ月くらい家にも帰らずに会社のソファで寝泊まりして、誰よりも早く起きて掃除してお仕事してた
……社長には怒られたけど

怒ってくれるところも好きだった
出来ればそのまま死にたいくらい好きで好きでしょうがなかった

……過去形にするのも変かな
今だって、そうやって死にたいし


「……紫桜さん……さすがに最低ですよ、見舞いにきた仲間に向かって……」

『……仲間だと思ったこと、私はありませんけどね』

仲間意識なんて、誰に対しても持ったことないし
唯一嫌悪感を抱かずにいられる社長に対しては、ほぼ崇拝と恋慕だから

「……芙羽梨、下がって。こんな人、目に入れなくていい」

『私だって貴方達のことなんて見たくもない』

視界に入れてるだけで不快なんだからしょうがない
嫌い、嫌い、嫌い、だいっきらい

「……お前、そこまで……」

『国木田さん……逆に好かれてるとか思ってたんですか？』

あれだけ仕事押し付けておいてよくも……

「……紫桜さん！大丈夫、みんなと話せば仲直り出来ますよ！僕たちにも悪い所はありました、だから……」

「ええっ、賢治くん……？芙羽梨わるくないよぅ……」

『……仲直りなんてしたくないの、ごめんなさい』

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