13話 ページ14
福沢side
電子音だけが鳴る、医務室
「……与謝野、紫桜の容態は」
「ひとまず難所は抜けたってとこだ。……まだ安心は出来ないけどね」
そうか、と短く返して紫桜の方に向き直る
……顔色も酷い
やはり無理をさせていたのだろう
何が契機だったかは聞いていないが、華咲を殺そうとしたらしい
華咲に話を聞こうとしたものの、怖かったと泣いて抱きつこうとしてくるだけで話にならない
ひとまず国木田に事情を聞き、乱歩に大まかな推察をさせたものの、現時点で処分を下すことは出来ないのが現状だ
……何より、こちらには彼女を過労死寸前まで追い詰めた負い目がある
それに加え、いくら華咲を刺そうとしたとはいえ倉庫に閉じ込めるのは合理的とも人道的とも言い難い
結果的に彼女は倉庫の中で首を吊っている所を発見され、与謝野に治療されたものの未だ意識は戻らない
あと2分発見が遅れれば、手遅れになっていた
事件から1晩が明けた今も彼女が目を覚ますことはなく、私は社に泊まり込みで彼女の傍についているが……
「紫桜。……済まない、私は……」
呼吸器をつけられて眠る彼女の手を握る
社長という立場上、華咲と彼女、どちらかに肩入れする訳にも行かず何もしてやれなかった
嫌がらせにも気づけずに、自分は何をしていたのか
……自分より一回り小さな手を、痛くないようにと握る
『っ、あ＿＿』
手を振り払われた
目を覚ました彼女は勢いよく体を起こす
「やめろ！まだ体は回復していない、そのまま眠って……」
『あ、わ、わた、し、生きてる、生きてる、生きて、あ、あぁ、あ』
錯乱したように目の下を掻き毟る彼女
慌てて手を掴み、止めさせる
『や、いや、失敗した、また、』
ベッドから降りようとするのを押さえつける
『ごめんなさい、何も出来ないのに、社長の役に立てないのに、私、死にます、すぐ死にます、か』
「……っ、もう何も喋るな」
痛ましい
……それ以外に形容のしようがない
喋るな、と言われれば大人しくそのまま黙り込んでしまった
口を固く閉ざしている
これでは息をしているのかさえ分からない
「……口を開けて、そうだ。呼吸器をつけていろ。息が荒い、体の負担になったらいけないだろう」
彼女は私の言うことにはよく従った
まるで人形のようだ
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朱鷺 - 太宰さんが馬鹿でウケる (1月30日 9時) (
レス) @page25 id: b34111cf4c (このIDを非表示/違反報告)
太宰の包帯少女 サブ - お話全て読みました。感動です。死にます。 (1月19日 4時) (レス) @page24 id: 7ba6d2397a (このIDを非表示/違反報告)
太宰の包帯少女 - ふわり許すまじ！！紫桜ちゃん幸せになって…！！ (1月17日 11時) (レス) @page1 id: 76044cacdf (このIDを非表示/違反報告)
お稲荷 - 初コメ失礼します！ こういう社畜系のお話大好きなんですよね〜 これ作った作者さん神でございます (1月13日 19時) (レス) @page18 id: bf74b10c25 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 社長オオオオオオ！、！夢主ちゃんを守ってあげてええええええ！！！ (1月12日 17時) (レス) @page15 id: a350d82ee1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：riizumi7 | 作成日時：2024年1月10日 1時
