労基が適用されない事務員【文スト】

11話 ページ12

……ダメだった
全部、ダメだった

今は取り押さえられて、そのまま倉庫に閉じ込められている
暗くて寒い

あぁ、きっと社長も、こんな不出来な私なんて見限ってしまうだろうな
今までのは冤罪といえなくもなかったけれど、今回ばかりは私が、実際に刃を振り上げたのだから

クビになったらどうしよう
どうしよう、なんて考えてみるものの答えなんてひとつしかなかった

彼の人の役に立てない私なんて必要ない
そのままどこかで野垂れ死ぬだけだ

『……っ、う……ぅ……』

嗚咽だけが響く
捻られた腕も痛くて、そもそも過労で倒れたばかりの体は上手に動くこともできない

……動いても、外から鍵をかけられている倉庫からは出られないけど

私も、もっと役に立てる異能力者だったら良かった
芙羽梨さんみたいに可愛ければ、社長のお役にも立てたかな

そもそも仕事なんていくらしたって、事務員の代わりはいくらでもいるんだ
でも、戦闘員は違う
代わりなんていない、唯一無二

……羨ましい
ただ異能力を持って生まれただけ
力を持っているか、いないかってだけの差

ずるい
私は、何をしたってダメなのに
天は人の上に人を造らずとか絶対嘘だ

私は貴方の役に立ちたかった
役に立たない自分に価値は無いから

弱い自分は、いらない




……少し、眠くなってきた

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