春には遠く ページ8
「3ヶ月ぶり、でしたか」
「ああ。正確には3ヶ月と7日だが」
喪服のような着物、静かな佇まいも、紛れもなく3ヶ月ほど失踪していた自分の恋人だった
いくら連絡をしても返事はせず
冬の初めからここ最近まで探偵社に顔も出さなかった
「……とにかく座れ。聞きたいことが山ほどある」
「ええ。お話しようと思って来たので、もちろんです」
口角を上げる
目が笑っていないが本人はあれで笑ったつもりなのだろう
そんな笑みを見るのも久方ぶりだ
「何を、していた。3ヶ月、私にも連絡を取らず……」
「ごめんなさい、連絡先を知らなかったもので。何をしていたかと言えば、少しポートマフィアの方に用事がありまして」
……目眩がした
冗談じゃない、無理にでも今すぐ探偵社で雇って手綱を握ってしまおうかと思うものの、まずは話を聞かなくてはと思考を落ち着かせる
「用事、と言うと」
「嫌がらせと、呼ばれたので」
目眩が、もう一度
嫌がらせ?マフィアに??
本当に、本当に彼女は何を考えているのか
何も考えていない訳では無いというのは薄々理解していたものの、それだけで見逃せるようなことでもなくて
「詳しく聞かせろ。……いや、もう面倒だ、いっそ乱歩を呼んで超推理で……」
「あら社長、江戸川君はカフェにお出かけですよ」
「……」
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作者名:riizumi7 | 作成日時:2023年12月7日 23時