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……結論から言うと、其奴は殺さなかったし、体を売る必要もなくなった
「お前、探偵社の社長の女だろ」
「知り合いです」
「……チッ、嘘なんて着いてもいいことないぜ」
ギロリ、と睨まれた
帽子がトレードマークの、明るい茶髪のお兄さんだ
マフィアの物だろうか、危害を加える気ならこちらから消してやろうと思い立ち、やはり腰の刀に手をかけた
……人殺しは悪いことなので、やっぱやめ
「……来い、首領がお呼びだ」
「そう、殺す気？」
「さァな。首領に聞けよ」
大人しく、お兄さんの後について歩く
彼の人に見られたら誤解されてしまわないだろうか
それだけがうっすらと心配だった
私、マフィアの人間なんかじゃないのに
「にしたッて、なんで武装探偵社の社長の女が身体を売ろうとしてんだ。金に困ってんなら社長様に養ってもらえばいいだろ」
呆れ返ったように前を歩く彼
「養ってもらうなんて、冗談でも嫌です。私、彼にかっこ悪いところなんて見せたくないの」
「だからって身売りはねェだろ」
「しょうがないでしょう。私、片腕を事故で失ってしまってどこも雇ってくれないの」
「いただろ、探偵社に腕のいい女医が」
「それも嫌。そもそも探偵社の社員の方は私の顔なんて覚えてもいないでしょうし」
覚えてない、というのも無理は無いのだ
向こうの記憶力の問題ではなくて、私の側の問題なのだから
……でも、ああ、江戸川君と太宰さんは覚えているかも
江戸川君の場合は、覚えていなくても勘づいている程度だろうけれど
いくら認識阻害の異能力でも、その程度名探偵のあの人なら看破してしまうだろう
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作者名：riizumi7 | 作成日時：2023年12月7日 23時
