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「社長!」
白髪の青年が声を上げてこちらを威嚇している。まあ無理はない
「いい、いつもの事だ。気にせず仕事に戻れ」
「え、ええ__!?」
驚きながらも青年は大人しくオフィスへ戻る
私は目の前の彼から目を逸らさず、もう一度剣を構える
「……朝から物騒だな」
曇天の空に、銀の星を足したような髪が綺麗
「だって、社長があんなふうに笑うから」
「そうか。……まあいい、負けたら大人しく私と茶でも飲んでくれるな」
「はい。……もちろん」
答えるより早く、縮地で距離を詰められる。腕を引かれて、視界がぐらついたかと思えばもう既に刀を取られていた
「……むう。返してください」
「帰る時には返そう」
私の前を静かに歩いて、秘書の女性に私の刀を預ける。……返してくれないかな
「そう不満そうな顔をするな。……それとも、このまま俺が預かっておけば傍に居てくれるか」
「無理ですよ。私自由人なんで、ああ、精神的には不自由人かもしれませんね。
それならせめて物理的には自由でいたいっていうか、そもそも社長と毎日会ってたらそれこそ胃の中身全部吐いて死にそうと言いますか」
「……死なれるのは、困る」
「困ってくれるのは、嬉しいですけど」
目を逸らす
勝手に棚を開けて、茶器を取りだした
「……最近はどうにも、寒くて嫌になりますね」
「あぁ。……そうだな、そろそろ上着でも買いに行こうか
何時までもそれだけでは寒いだろう、せめて今は私の上着でも羽織っておけ」
穏やかに目を伏せて、お茶を淹れていた私の肩に上着を掛けてくれた
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作者名:riizumi7 | 作成日時:2023年12月7日 23時