プロローグ ページ2
「おはようございます」
午前10時、探偵社はまだ慌ただしく朝を過ごしているらしい
扉を叩いて、出迎えてくれた白髪の青年にお礼を言う
「とにかく、ご依頼でしたらこちらに」
「いえ、そういう訳では。知り合いに会いに来ただけですので」
応接間のソファに通される。窓の外に目をやれば雪がチラついていた
……ああ、傘を持ってくるのを忘れたな
「知り合い、と言うと、ええと……」
「福沢さんはいらっしゃいますか。お弁当を、届けに来たのですけど」
ドアの向こうのオフィスを見る。和装の彼と目が合う
「ああ、社長なら今……」
言いかけたところで、ドアの方から低い声がした
「……私に用か」
「おや」
「あ、社長」
「用と言うには、意味の無いものですけど。はい、これ」
布に包んだタッパーを渡す。
「お弁当、とお菓子。差し入れです」
「そうか、感謝する。良ければ少し話でも。とにかく社長室に、茶を淹れよう」
こちらに目をやって、少しだけその目を細める。……ああ、それは
なんて、なんて__
「そう、ですね。お茶、私が入れます。練習したんです、貴方の為に」
ありがとうね、と白髪の少年に礼をして立ち上がる
「__」
一閃、瞬くよりも早く剣を抜く
どれだけ早くても、届かないことは知っていたけど、そのまま耐えることなんて出来なかった
キン、と金属の音だけが響いた
腕力で勝てるわけが無いので、1度距離を取ってもう一撃
腰を落としたまま下から斬り掛かる
初撃で斬れなければ勝ち目が無いことは理解していたけれど、まあここからはただの手合わせということでも構わない
25人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:riizumi7 | 作成日時:2023年12月7日 23時