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1話 ページ2

とある村の調査、ということだった

上層部が話したがらないのにはそれなりの理由があるのだろう
異様な村の雰囲気には自分も感じいるところがあった

「こちらへ、こちらへ」

と仰々しく頭を垂れ、連れてこられた先にいたのは……

「……幼子?」

小綺麗に磨かれた座敷牢の中に繋がれている、少女の遺体

「……酷いな」

思わず呟くと、少女の肩が小さく震える
驚いた
生きていたらしい

『……きゃ、く、じん、でしょ、……うか』

途切れ途切れの言葉には、感情というものがまるでない

そもそもの話、彼女が生きているという事実そのものが驚愕だった


両手足の指から関節ごとに切り分けられ、手足を切断された状態で首元の首輪だけで吊り下げられている
挙句眼球もくり抜かれているのだろう、眼孔は暗い

……その状態では、首が絞まっているのでは無いだろうかと思い、思わず顔を顰めた

考えるよりも先に、軍刀を抜いて彼女の首輪を切る

『……っ、!ひっ、い、いや、痛いのは、もう……』

外れた首輪、そして鎖で繋がれていた彼女の体はいとも簡単に地面へひれ伏せる

……が、その前に自分が彼女を抱きとめた

「大丈夫か。……大丈夫、という訳では無いだろうが、安心せい。儂が来たからにはもう痛い事は無い」

『……?…っ、…』

フルフルと、首を振る

「何をするのです!」

「それの鎖を解くなんて!」

「それは邪神ですよ、早く鎖を!手足を切り落としても、まだ死なない、悪魔の子です!」


村人達からは責められている
……まさか、責められるとは

何かの土着信仰の変化した形だろう
だが、その結果として1人の少女にここまでの負担を強いているのであれば、猟犬として看過は出来なかった

「……儂と共に来い」

『……』

首を横に振る

「……何故だ。今よりはマシな暮らしができる」


何より、もうこれ以上傷つくことは無い



『…………私を放せば、世界を百度滅ぼし尚足りない』

『厄災を』

掠れた声で、許しを乞うようにそう呟く

「構わん。百度滅ぼすのであれば、儂が百度救ってやろう」

『……理解、出来ません』

「ああ、今はそれで良い。まずは治療が先決じゃ」

……今思えば、ここで彼女を拾う必要などその時の自分にはなかったのかもしれない

それでも、愛おしいと思えてしまったのは……

……陳腐な言葉で示すのであれば、一目惚れと言うやつだろうか

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素間羅門 - こういう系は見たことなかったので新鮮というのもあり、面白かったです。夢主ちゃんも可愛い❗あと猟犬の反応もぐっとです❗ (2月7日 17時) (レス) @page5 id: 27d6234774 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - 好きすぎます! (1月21日 8時) (レス) @page4 id: c21f6abdfc (このIDを非表示/違反報告)
蓮月 - やばい夢主ちゃんの性格が癖に刺さりまくった!神様仏様主様ぁ (1月18日 18時) (レス) @page4 id: ffc93dad91 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅 - 神すぎます! (1月18日 6時) (レス) @page2 id: c21f6abdfc (このIDを非表示/違反報告)
琥珀留流 - めっっちゃ楽しみです。もう人生であったこともないこのトキメキ!(クソデカ言葉)主様のペースでの更新、お待ちしております (1月18日 1時) (レス) @page2 id: da22073fbc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:riizumi7 | 作成日時:2024年1月17日 22時

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