25℃ ページ26
携帯をよく見るようになったね、と。
この間まふに言われた。
自分ではそんなに変わらないと思っていたが、携帯に誰かからの連絡が来るのはやはり嬉しかった。
この間そらるさんに携帯番号を教えたら頻繁にメールが来るようになっていた。
そして私はいつの間にか携帯を毎日チェックするようになっていた。
メールの内容は本当に些細な事だけど、たまに写真が添付されていたり、動画が送らてきたり、と。
楽しかった。いや、私自身結構楽しみにしていた。
・
そらるさんにメールの返信をしてから、少しお店へ行こうと立ち上がった時。後ろに気配を感じて振り返ればまふの姿があった。
「あれ?お腹すいた?」
今日は蒸し暑いというのに彼は長袖を羽織っていた。
「ううん」
「そっか、
ご飯食べようと思うんだけど、…」
"食べる?"
そう聞こうとしたら、携帯が鳴った。
ディスプレイにはそらるさんの文字。きっとさっきのメールに返信が来たのだろう。そう思いながら携帯が自然と暗くなるまで画面を見ていた。
「そんなに楽しい?」
「え?」
「この前も言った…携帯よく見るね」
「あ…うん」
どんな気持ちでそれを言っているのか分からないけど、彼が私の行動を見るようになってくれたのだと思いひとり口元が緩んでいたりして。
「ねえ…」
まふの顔を見ればいつも以上に青白かった。
あれ、私はまふのことちゃんと見ていたっけ。
携帯を見る時間が多くなって、まふの顔見れていなかったっけ。
「まふ、」
名前を呼んだのと同時だった。
薄い細い体が床に崩れ落ちた。
支えようとぎゅっと抱きしめた。
身体からほんのりと血の匂いがした。
病院へ連れて行けばいいのか、救急車を呼べばいいのか、私は何も知らなかった。
まふをソファに寝かせてあげる。私でも運べてしまうくらい細かった。
さっきよりも一段と強くなった血の匂い。
長袖から出た腕には傷跡と血が見えた。
351人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
My_lay(プロフ) - 久しぶりの更新、お疲れ様です!どうか無理はしないで下さいね…!応援してます。 (2017年8月30日 7時) (レス) id: 80fcad1283 (このIDを非表示/違反報告)
meal - この作品大好きです! これからも頑張ってください 応援しています (2017年7月27日 22時) (レス) id: 43ed2044ce (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - りり@休日なんで更新頑張りますさん» あああ!ありがとう~~!更新がんばります! (2017年5月16日 12時) (レス) id: 671472fa46 (このIDを非表示/違反報告)
りり@休日なんで更新頑張ります(プロフ) - りとさん» 読んだよ…!!私の何倍も素敵な作品でした…!!((( 応援してます!! (2017年5月14日 16時) (レス) id: 1207641a4c (このIDを非表示/違反報告)
りと(プロフ) - 従順なこいぬさん» ご指摘ありがとうございます。22話が非公開になっていました…!すみません…! (2017年5月13日 0時) (レス) id: a9b576e822 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りと | 作成日時:2017年4月17日 22時