第23話 ページ23
ピコン♪
A18時頃帰宅する予定です
AからLINEが来たのは17時を過ぎた頃だった。それなら今日は浦島坂田船も解散するか。
う「今日はもう解散で良い?」
セ「あ、Aちゃん学校終わったん?」
志「うらたさん、ずっとソワソワしとったもんなぁ。」
坂「ええよええよ!うらさん、早く帰り!」
う「…ありがとう!じゃあまたな!」
荷物を引っ掴んで、足早にスタジオを後にする。
今から帰れば、駅で会えるだろうか。
う「あ、A。」
『…………あれ、渉くん?』
朝と変わらない制服姿のAがきょとん顔で俺に駆け寄ってきた。
う「俺も今日の打ち合わせが終わって帰る所だったんだよ。会えて良かった。」
『一応家の鍵持って出て来たけどね。』
う「俺も。でもせっかくなら一緒に帰りたいじゃんか。」
『…そうだね、一緒に帰った方が楽しいね。』
嬉しそうにAが笑った。
う「高校はどうよ?進学校なんだろ?」
『うん、やっぱり難しいや。一応自分でも勉強してたけど東京はレベルが桁違いだった。』
う「そう言う割に楽しそうだけどな。」
『ふふっ、だって東京に来てから頑張ろうって思えたの初めてだもん。』
『……渉くんのおかげだよ。渉くんのいる東京に来られて良かった。』
う「…そう言ってくれるだけで、俺は嬉しいよ。」
『えへへ、』
う「雰囲気は?転校初日で疲れなかったか?嫌なこととか……。」
『うーん……良くも悪くも干渉してこない、こっちから関わらない限りは。皆自律してて、自分を持ってる人が多い。……私には合ってる。』
う「…そっか、良かった。」
昨晩からドキドキしていた俺にとって、Aの返答はどれもホッと胸を撫で下ろすことのできるものだった。
『…心配してくれてたの?』
う「当たり前だろーが。Aが頑張ろうとしてるのに出鼻を挫かれたら溜まったモンじゃない。…坂田も気にしてたから今度その話してやってよ。あと志麻とセンラ。」
『あ、知ってるよ。浦島坂田船のメンバーの方だ。』
う「そうそう、俺がAを預かってることにも賛同してくれてるし、いつか会ってみたいって。勿論Aのタイミングで大丈夫だし、これから俺ら夏ツアーで忙しくなるからゆっくり話せるのはその後になるかもしれないけど。」
『うん、楽しみにしてるね。』
穏やかに笑うAに、何故だか涙が出そうになった。
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まなつ(プロフ) - コメント失礼します。ただ一人の私自身を思ってくれる、本当の私を見てくれる、そんな優しい誰かがすぐそばにいる、それを気付かせてくれる誰かがいる夢主ちゃんはとても幸せですね。素敵なお話をありがとうございます (2020年6月25日 23時) (レス) id: c0717d53d4 (このIDを非表示/違反報告)
ゲッティ - 奇遇、私も埼玉住んでる (2020年6月13日 18時) (レス) id: 0adc01732d (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - 心春さん» これは世界中で理不尽ないじめと戦う皆の話です。貴方の心に響いたのならきっと貴方も過去(現在かもしれませんが)経験がおありなのでしょう。「結局誰も助けてくれない、けれど何処かに助けてくれる大人は必ずいる」をテーマに書いておりますのでコメント嬉しいです。 (2020年5月26日 7時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
心春 - 泣いてしまいました。夢主ちゃんの周りに素敵な方達がたくさん居て、読んでいてとてもあたたかくなりました。これからも更新頑張ってください!楽しみにしてます。 (2020年5月26日 0時) (レス) id: dd23ca9c81 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - しおさん» ありがとうございます。「貴方にとって優しい世界が何処かにある」をテーマに書いておりますので伝わっていたのはとても嬉しいです。 (2020年5月24日 19時) (レス) id: 72c92659fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛 | 作成日時:2019年8月6日 12時