背伸びが下手くそな俺のいとこ【うらたぬき】

第１話 ページ1

それは、母からの一本の電話。



母〈あ、わたる？今大丈夫？〉

う「おー、何。」

母〈いとこのAちゃんって覚えてる？〉

その名を聞いて思い出すのは数年前の正月、親戚が集まったその場所で１人オレンジジュースを飲んでいた女の子。

う「あー…うん、覚えてる……てか数年前に会ったきりだけど。で？Aちゃんがどうした？」



母〈暫くの間預かって欲しいのよ。〉



う「………は？」

母〈お願い！！〉

う「いや、待てって！Aちゃんって埼玉住みだろ？何で急に………。」

母〈………実はね？〉


ーーー
ーー
ー

う「………は、マジで言ってんの…？」

母さんから聞かされた話は、とても現実味を帯びた内容ではなくて。
本当にそんな事あるのか、と思ったくらいだ。

母〈お願い…渉にしか頼めないの…。渉の事情も全部理解した上で、話をしてる。〉

う「っ………」

母〈………このままだと、Aちゃん…〉



……………はぁ、



う「分かった。俺が引き取る。Aちゃんは、俺の事どこまで知ってんの？」

母〈歌い手の事を知ってるかどうかまでは…本人に聞いてみないと…って感じ。〉

う「Aちゃんはいつこっちに来れるの？」

母〈荷物自体は纏めてあるし、手続きが済み次第すぐに行けるよう準備してあるみたい。〉

う「ん、とりあえず詳しい事決まったら連絡頂戴。」

そう言って切った電話。





………Aちゃんか。









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浦田A
高校２年生
うらたさんのいとこ
いじめから逃げるために都内の難関私立高校に転入し、うらたさん家に居候する事に

浦田渉
歌い手のうらたぬき

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