僕達の専属衣装さん【AtR】

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しかし、本題である衣装の話になった時に、僕が抱いた印象は間違ったものだと思い知らされることになった。



『………なるほど、お話は分かりました。制作期間は？』

ま「制作期間は衣装合わせが１ヶ月半後なのでそこに間に合っていてほしいです。そこで微調整を加え、約３週間後のゲネで完成、という形の予定です。」

『予算は如何程ですか？』

ま「予算は二人合わせて10万円程を予定していて、過去の衣装などもこちらにあるので使用して頂いて構いません。」

『ちなみに衣装デザインはどなたが？』

そ「まずは俺達のイメージする衣装をイラストレーターさんに絵に起こしてもらい、それを見ながらAさんと俺達で微調整していく形でやらせて頂ければと。」



『……、………私は衣装デザインに殆ど口を挟めない、ということでしょうか？』

ま「っ、」



顔を上げたAさんの目は先程の柔和なイメージとは異なり、真剣そのもの。
僕達を射抜く鋭さを秘めていた。



ま「いやっ、勿論Aさんのご意見も聞かせて頂きたく思います！」

そ「元々俺達はAさんの持つ服飾の世界観に惹かれて声を掛けさせて頂いた所存です。」

ま「………それでも、"僕達"のライブです。僕達の曲と、歌を、形にしたいと思ってやっています。僕らにも、伝えたいイメージがあります。」

少し震えた声で、それでも真っ直ぐに目の前のAさんを見た。

年下とは思えないほど凛とした彼女が、ゆっくりと口を開いた。

『………分かりました。』

ま「っ、…えっと………」



やっぱり、この話はダメ………………



『是非、引き受けたいと思います。』

宜しくお願いします、と頭を下げた彼女。

ま「っえ！？良いんですか！？！？」

思わず立ち上がって叫んでしまった僕は周りの視線を感じて、すみませんっ、と謝りながら再び座る。

『はい。…何だかお二人とは面白い衣装が作れそうなので。』





そう言って彼女は、心底楽しそうに笑った。

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