第80話 ページ5
「そ、そんな事は無理だ!
本家の人間になんと言えばいい!?」
「そこは当主殿が上手く言いくるめればよいのです。それとも、私たちが言いましょうか?」
この方が、今までの誰よりも、鎮め者にふさわしい、と。
「う、む・・・まぁ、家の人間はお前たちに殺されるのを恐れている。
変更を伝えても、A殿の方がふさわしいことが分かれば、文句は言わんだろう。
だが、今鎮め者として育てられている子はどうする」
当主のその問いに紫苑はわずかに思案顔になった。
そこで、今までずっと黙っていたAが口を開いた。
『名を継ぐ日、僕とどちらがふさわしいか、みんなに決めて貰えばどう?
それなら誰も文句は言えない』
子供が浮かべるのには似つかわしくない笑みを浮かべ、Aは言った。
その提案に2人も賛同し、Aと紫苑は、神社にある屋敷へ戻っていった。
────そして、名を継ぐ日がやってきた。
Aは、袴と着物をまとい、静かに座っていた。
隣では、一人の少女がうなだれている。
もうすでに、Aが名を継ぐことが決まっていたのだ。
Aを目にした瞬間、狐神の人間は思った。
──────この少女こそ、鎮め者にふさわしい。
名を呼ばれ、Aが立ち上がる。
改めて狐面を渡され、鎮め者の座を継いだことを宣言された。
それまでずっとうなだれていた少女が不意に顔を上げた。
その目は、憎しみに満ちている。
彼女は懐からナイフを取り出し、目の前にいる少女に切りかかった。
Aは、一歩も動かなかった。
ナイフがAの首を切り裂こうとした瞬間、少女の姿がかき消えた。
代わりのように、口元を血で濡らした紫苑が立っている。
『もうちょっと待てと言ったのに・・・僕は少しの傷ならすぐ治るんだよ?
あの子に少しくらい優越感を与えてあげても良かったんじゃないかなぁ』
「申し訳ありません・・・・貴方のことが心配で・・・・・」
“少女の魂を喰らった”紫苑はばつが悪そうに言った。
『まぁいいよ。
………それでは当主様、また会うときは、僕はもっと大きくなっているでしょう』
ニコッと嗤い、Aは紫苑とともに去っていった。
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haiki - 感動、感動の一言です!失礼ですが、何となく『狐』と言う単語に惹かれてクリックしてみたら、本当にすごかったです!こらからも続けるのだったら、嬉しいのですが・・・これからも、頑張ってください。 (2016年12月29日 23時) (レス) id: 603df3e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴 - めっちゃハマった!感動した! (2016年2月12日 20時) (レス) id: af6dad06a9 (このIDを非表示/違反報告)
ななえ - 感動しました。 (2016年1月13日 21時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
Head・phone - ハマりに、ハマった。 (2015年10月8日 13時) (レス) id: a1b07e2967 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 最高に いい小説でした! 最近 他の小説を読んでも あまり ピンとこない 小説 が 多かったんで この 小説に ハマり ました!
これからも 小説作り 頑張ってください (2015年8月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 222eea2be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 x他1人 | 作成日時:2014年4月26日 15時