第７９話 ページ4
周りに何匹か鬼火が飛び、膝には狐がじゃれついていた。
自分を驚いた表情で見つめる存在に気付き、幼い声で、少女は言った。
『こんにちは、当主様。
僕に、何かご用でも？』
その日の驚きを、当主は生涯忘れることはないだろう。
いつも報告に来るのは、紫色の少女だけなのに。
その日は、見たことのない子供も一緒だった。
金色の瞳を瞬かせ、青銀色の髪を肩で切りそろえた小さな子供。
うだるように暑い夏のことだった。
ノースリーブからのぞく小さな肩と、ショートパンツを履いた細い足。
その腰には、朱色の紐が結ばれ、狐面が揺れていた。
その狐面は、代々鎮め者が受け継ぐものだ。
まだ、Aの顔よりもふた周りほど大きい。
自身の周りを飛び回る鬼火に頬を寄せ、小さな手に乗せる。
嬉しそうに笑った後、狐に微笑む。
そんな少女を呆然と見つめ、当主はやっとのことで声を絞り出した。
「初代・・・・様・・・・・・？」
伝え聞く初代とそっくりな容姿の少女。
あやかしに臆することなく、逆に楽しそうに遊んでいる。
狐の姿になっていた紫苑が人の姿に戻り、口を開いた。
「当主殿、この方は初代ではありません。
しかし、歴代の鎮め者の中でも、一番初代に近い存在だと、私たちは思っています」
「紫狐、この者は一体・・・？」
「この子はA。
私たちの住む神社の前に置き去りにされていた子供です。
末席も末席ですが、狐神家の子ですよ」
一呼吸おき、紫苑が付け加える。
「それから、私の名は紫狐ではなく、紫苑です。Aが付けてくれた、大切な名です」
「しかし・・・・・何故、そんな子を連れてきたのですか？」
少し間をおき、紫苑が微笑みながら答える。
「もちろん──────Aが鎮め者の座を継ぐことを認めて貰うためですよ」
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haiki - 感動、感動の一言です！失礼ですが、何となく『狐』と言う単語に惹かれてクリックしてみたら、本当にすごかったです！こらからも続けるのだったら、嬉しいのですが・・・これからも、頑張ってください。 (2016年12月29日 23時) (
レス) id: 603df3e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴 - めっちゃハマった！感動した！ (2016年2月12日 20時) (レス) id: af6dad06a9 (このIDを非表示/違反報告)
ななえ - 感動しました。 (2016年1月13日 21時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
Head・phone - ハマりに、ハマった。 (2015年10月8日 13時) (レス) id: a1b07e2967 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 最高に いい小説でした！ 最近 他の小説を読んでも あまり ピンとこない 小説 が 多かったんで この 小説に ハマり ました！
これからも 小説作り 頑張ってください (2015年8月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 222eea2be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零 x他1人 | 作成日時：2014年4月26日 15時
