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第98話 ページ23

〜7年後〜









「かあさま、かあさまは、御狐様だったの?」


縁側に座り、2人の子供を膝に乗せて、Aは物語を語っていた。


大きな瞳を瞬かせ、双子の少女が言う。




「うん。かあさまはね、御狐様だったんだよ。でも、今は、普通のヒト」









母譲りの銀髪と、父譲りの深い緑の瞳をした少年。

Aの息子の、レオン。



父譲りの紫がかかった黒髪に、母譲りの金の瞳をした少女。

Aの娘、リオン。




Aは、双子の母として。


また、鎮め者として、生きていた。



その頭には、当然のように狐面がある。



するりとそれに手を滑らせ、優しく微笑む。




今でも、あの騒がしく、楽しかった日々は簡単に思い出せる。








小さな息を吐き、2人に言い聞かせるように、囁く。




「いい?今、お前達は御山にいる。でもそのうち外を見ることが出来るようになるんだ。



外に出たら、恋でも何でも好きにして良いんだよ。





だから、今は、少しだけ我慢。






リオンもレオンも、いい子だから出来るよね?」







『うんっ!!』




「レオン、"お外"に行こう!かくれんぼしよ!」


「良いよぉ。今日こそ見つけるから!」




門から出て、笑い合いながら駆けていく2人を見つめるAの視線は優しい。





それはもう、



狐のモノでも、



化け物のモノでも、




獣のモノでもなかった。






愛情を持った、人間のモノだ。




Aは、ちらりと時計を見る。




もう少しすれば、夫である高杉が帰ってくるだろう。




暖かな光を浴び、Aは猫のように伸びをした。




そして不意に立ち上がる。





長く伸びた青銀色の髪が揺れた。






今日は、コハクがヒスイを連れてやってくるのだ。







どう育っているのかが、Aはとても楽しみだった。







 



 


キラリ、とAの左手の薬指にはまった指輪が僅かに光る。






 




Aが座っていた場所に、桜の花弁が一枚落ちた。

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haiki  - 感動、感動の一言です!失礼ですが、何となく『狐』と言う単語に惹かれてクリックしてみたら、本当にすごかったです!こらからも続けるのだったら、嬉しいのですが・・・これからも、頑張ってください。 (2016年12月29日 23時) (レス) id: 603df3e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴 - めっちゃハマった!感動した! (2016年2月12日 20時) (レス) id: af6dad06a9 (このIDを非表示/違反報告)
ななえ - 感動しました。 (2016年1月13日 21時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
Head・phone - ハマりに、ハマった。 (2015年10月8日 13時) (レス) id: a1b07e2967 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 最高に いい小説でした! 最近 他の小説を読んでも あまり ピンとこない 小説 が 多かったんで この 小説に ハマり ました! これからも 小説作り 頑張ってください (2015年8月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 222eea2be2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作成日時:2014年4月26日 15時

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