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第94話 ページ19

『話はおしまい。晋助、僕に何か話がある?』


面を着けたままコトンと首を傾げ、Aはジッと俺を見つめてくる。


『話がないなら、もう1つ話がしたいんだけど・・・・いい?』



その顔から、狐の面が取り去られる。


もともと顔立ちが中性的なせいか、髪を短くした姿は、男女の判別が曖昧になっていた。


だが、大きな瞳と白い肌、全体的に華奢な体つきから、かろうじて判断は出来る。




そんな、少年のような少女は、俺の返事を待っている。


言いたいことは山ほどあった。


どんな文句や質問をぶつけても、Aはあっさりと全てに答えるだろう。



だから、あえて俺は頷いた。


Aの話を聞いてからでも、俺が言いたいことを言うのは遅くない。



頬をゆるめ、目を僅かに閉じてAは柔らかく微笑む。


ゆっくりと息を吸い込み、吐く。



そして、Aは口を開く。









『僕は君のことが好きだ。


心から、愛してる』









 




一度聞いたはずのそれは、重く、心に響いた。


恥ずかしがるような素振りは一切見せていない。


だが、その頬は、真っ赤に染まっている。


初めて見る、表情だった。




『・・・・・やっぱり、面と向かって、真剣に言うのは恥ずかしいね。

心臓がこんなに速く動く音を聞くのは初めてだよ』






ポリポリと頬をかき、Aは目線をそらした。

真っ直ぐ俺を射抜いていた視線が無くなる。




答えを待つように、Aは唇を引き結んだままだ。




・・・・・答えなんて、考える必要もない。


ずっと前から、俺はAの事が好きだ。



普通とは違うことを知った今も、その気持ちは変わることなくある。









 





「A」





 




 




小さな声で、思い人の名を呼ぶ。


Aはまだそっぽを向いたままだ。



「お前が好きだ。逢ってからずっと、お前のことを想っている」




俺は足早にAに近寄った。





その顎に手を添え、上を向かせる。




 



そして俺たちは口づけを交わした。



出逢い、ずっと共に過ごしてきた日々の終わりで。





 




 




 



 







 





 


そして、新しい生活の始まる合図だった。

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haiki  - 感動、感動の一言です!失礼ですが、何となく『狐』と言う単語に惹かれてクリックしてみたら、本当にすごかったです!こらからも続けるのだったら、嬉しいのですが・・・これからも、頑張ってください。 (2016年12月29日 23時) (レス) id: 603df3e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴 - めっちゃハマった!感動した! (2016年2月12日 20時) (レス) id: af6dad06a9 (このIDを非表示/違反報告)
ななえ - 感動しました。 (2016年1月13日 21時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
Head・phone - ハマりに、ハマった。 (2015年10月8日 13時) (レス) id: a1b07e2967 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 最高に いい小説でした! 最近 他の小説を読んでも あまり ピンとこない 小説 が 多かったんで この 小説に ハマり ました! これからも 小説作り 頑張ってください (2015年8月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 222eea2be2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他1人 | 作成日時:2014年4月26日 15時

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