第91話 ページ16
狐神Aの話をしたいと思う。
私が生を共にした、少女について。
怠惰で、気まぐれで、どこか達観している。様々なことに対して興味が薄い。
常に狐面を着けていて、自らを化け物だと、狐だと称す。そしてよく喧嘩をしている。
人が嫌いだと言いながらも、人に関わるのをやめない。
そんな矛盾した彼女と、私は共に生きてきた。
私はあえて一度も口にしなかったが、ずっと思っていることがある。
彼女は人が好きだった。
愚鈍さを嘆き、同じ間違いをする人間達に苛つきながらも、彼女は生きてきた。
余裕そうな笑みを浮かべながら、彼女は人間を見守るように、常に誰かのそばにいた。
青銀色の髪と金色の瞳。
そんな人間離れした容姿から、幼い頃は、周りに受け入れられなかった。
Aは泣いた。
一度だけで良いから、フツウになりたい。
そう、何度も願った。
・・・・・受け入れられないのなら、フツウで無くなればいい。
そう考えつき、狐を宿すことを決めた。
何度も、彼女は裏切られた。
信じてみようとした人は、Aから離れていく。
心を閉ざし、塞ぎ込んだ。
そんな彼女に手を指し伸ばす者がいた。
その手を、ためらいながらもとり、今度は、フツウの人として。
そして、妖怪を統べる者として、生きることを決めました。
───────めでたし、めでたし。
Aは、ぱたりと口を閉じた。
紅色に染まっていた両目も、元に戻っている。
ふわりと着物の袖を揺らし、壇上から降りた。
「・・・・・以上で卒業式を終了とする」
そう、司会が言うのと同時に、Aは体育館を飛び出した。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした!
22人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
haiki - 感動、感動の一言です!失礼ですが、何となく『狐』と言う単語に惹かれてクリックしてみたら、本当にすごかったです!こらからも続けるのだったら、嬉しいのですが・・・これからも、頑張ってください。 (2016年12月29日 23時) (レス) id: 603df3e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴 - めっちゃハマった!感動した! (2016年2月12日 20時) (レス) id: af6dad06a9 (このIDを非表示/違反報告)
ななえ - 感動しました。 (2016年1月13日 21時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
Head・phone - ハマりに、ハマった。 (2015年10月8日 13時) (レス) id: a1b07e2967 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 最高に いい小説でした! 最近 他の小説を読んでも あまり ピンとこない 小説 が 多かったんで この 小説に ハマり ました!
これからも 小説作り 頑張ってください (2015年8月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 222eea2be2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:零 x他1人 | 作成日時:2014年4月26日 15時