第90話 ページ15
「えー・・・思えば時が経つのは早く、君たちも今日で卒業する。
この3年間で──────」
長々とした校長の話。
それを聞く3zの生徒たちが座っている列の椅子に、Aの姿はなかった。
3zの生徒たちは、落ち着かない様子で周りを見たりそわそわしていた。
「・・・・わしからは以上じゃ。諸君、これからも頑張るのじゃぞ」
校長の話が終わり、卒業証書授与が始まる。
Aは、まだ来ない。
全員に卒業証書が渡され、在校生から卒業生へ言葉が贈られる。
「それでは、卒業生代表の言葉。
代表、3z。狐神A」
・・・・・返事は、無い。
──────間に合わなかった・・・
誰もが、そう思った次の瞬間、派手な音を立てて扉が乱暴に開けられた。
『セーフ・・・・・いや、ギリギリアウトか、な?』
その場にいる全ての人間の視線が、彼女に集まる。
着物と袴を纏い、肩に羽織をひっかけ、腰には、いつも頭に乗っている狐面をくくりつけてある。
3zの生徒たちは、自らの目を疑った。
何故なら・・・・・
『ずいぶんと静かだね・・・葬式みたいで、嫌なんだが?』
そう、冗談めかして笑う。
開け放たれた扉から入った風が、Aの髪を揺らす。
腰よりも長かったはずのそれは、ばっさりと切られ、肩までの短髪になっていた。
さらには、長かった右前髪も切りそろえられ、右目がのぞいている。
怪しい紅色だったその瞳の色は、赤がかかった金色。
呆然と自分を見る、3zの面々をちらりと見て、壇上に上がっていく。
澄んだ、ボーイソプラノが小さく言葉を紡ぐ。
『少し、くだらない話をしようと思う。
意味はあるが、教訓などありはしない』
自らを化け物と称した、とある狐の話だよ────
両目を赤に染め、そう囁いた。
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haiki - 感動、感動の一言です!失礼ですが、何となく『狐』と言う単語に惹かれてクリックしてみたら、本当にすごかったです!こらからも続けるのだったら、嬉しいのですが・・・これからも、頑張ってください。 (2016年12月29日 23時) (レス) id: 603df3e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴 - めっちゃハマった!感動した! (2016年2月12日 20時) (レス) id: af6dad06a9 (このIDを非表示/違反報告)
ななえ - 感動しました。 (2016年1月13日 21時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
Head・phone - ハマりに、ハマった。 (2015年10月8日 13時) (レス) id: a1b07e2967 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 最高に いい小説でした! 最近 他の小説を読んでも あまり ピンとこない 小説 が 多かったんで この 小説に ハマり ました!
これからも 小説作り 頑張ってください (2015年8月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 222eea2be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零 x他1人 | 作成日時:2014年4月26日 15時