第８７話 ページ12
『ん〜・・・まぁ、無事戻ってこられたな。
で、何で晋助はそんな顔してるんだ？』
ことんと首を傾げ、Aは高杉に問う。
高杉は、驚いたような、呆れたような表情を浮かべたままAを見る。
「・・・なぁ、A？俺がお前の意識に入ったの、確か夏あたりだったよなァ」
『そうだね。詳しく言うなら、梅雨時だ』
「・・・・・じゃあ何でお前の家の庭の桜咲いてんだ」
ビッ、と親指で桜の大木を示す高杉。
それを見て、Aは「ああ、」とこぼした。
『そういえば、晋助には言ってなかったね。
向こうの方が時間の進みが遅い。
向こうの一時間がこっちの１日だったり、一週間だったり、バラバラだけど。
今回はそう長い時間居なかったから、僕達はまだ高校生だ』
あぐらをかいたまま、Aは気配もなく背後に立った紫苑に問う。
『紫苑、卒業式はまだやってない？』
「はい。約二週間後です」
『・・・・よし。じゃあ行こうか』
側に置いてあった着流しに手を伸ばしながら、Aが言う。
そのまま立ち上がると、高杉の方に振り向く。
『晋助。僕はちょっと本家に行ってくる。
卒業式には出るよ。ギリギリになるかも知れないが、必ず行くと、伝えてくれ』
それだけ言うと、羽織をひっかけて歩き出す。
高杉はあわててその背を追おうとした。
だが、突然強烈な頭痛におそわれる。
額を押さえてうずくまると、そのまま畳に倒れた。
『晋助、お前、気が付いてないだろうが、寿命を大分削ったんだ。
いきなり動いたら、下手すれば死ぬぞ？』
倒れてしまった高杉の頭をそっと撫で、Aは囁く。
『僕に、やっと生きる意味ができたんだ。
心から愛している者を残して先立つことがないように。
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ちょっと、この呪い解いてくる』
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haiki - 感動、感動の一言です！失礼ですが、何となく『狐』と言う単語に惹かれてクリックしてみたら、本当にすごかったです！こらからも続けるのだったら、嬉しいのですが・・・これからも、頑張ってください。 (2016年12月29日 23時) (
レス) id: 603df3e4f4 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴 - めっちゃハマった！感動した！ (2016年2月12日 20時) (レス) id: af6dad06a9 (このIDを非表示/違反報告)
ななえ - 感動しました。 (2016年1月13日 21時) (レス) id: 42f6409a50 (このIDを非表示/違反報告)
Head・phone - ハマりに、ハマった。 (2015年10月8日 13時) (レス) id: a1b07e2967 (このIDを非表示/違反報告)
えり(プロフ) - 最高に いい小説でした！ 最近 他の小説を読んでも あまり ピンとこない 小説 が 多かったんで この 小説に ハマり ました！
これからも 小説作り 頑張ってください (2015年8月14日 1時) (携帯から) (レス) id: 222eea2be2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：零 x他1人 | 作成日時：2014年4月26日 15時
