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「あれ、旦那!?何やってるんですか!!?」
「よージミー、元気に仕事やってるか?」
「うるさいですよ!また不法侵入ですか!?良い加減副長に怒られますよ!!」
正々堂々、というかなんというか。
堂々と門から入って、堂々と見つかった。
「ちげぇよ、今日はちゃんとした用事だ。総一郎君いる?」
「隊長ですか?隊長ならさっき道場の方へ行きましたけど…」
「こいつが用があるって言って聞かないからよぉ。会わせてやってくんね?」
グイ、と腕を引っ張られ前に出される。
ジミーと呼ばれたその人は私を凝視したと思ったら急に赤面してオロオロし出した。
「あ、あの…」
「…ハッ!!お、沖田隊長ですよね!!付いてきてください!!」
「じゃあ俺らは帰るわー」
「ありがとうございました!お礼は今度持ってきます!」
ジミーさんが歩き出したので、私もそれに付いていく。ふと、隣から血の匂いがした。
「…あの、ジミーさん」
「ジミーさん!?…俺は山崎退。ジミーはその…あだ名っていうかなんていうか…」
「そ、そうなんですね!!すいません。私はAと言います」
それは申し訳ないことをした…。
にしても、ずっと目が合わない。…嫌われているのかな。
「Aさん…ううん、大丈夫ですよ…えっとそれで?」
「あ、その…怪我、してますよね。見せてください」
「え、」
「血の匂いがしたので、何処かを怪我したりしたんじゃないのかと思って…」
「!!…あ、そんな大したことないから」
「…傷口からばい菌が入ったら、どうなるかわかりません。もし、死んでしまったらどうするんですか」
怪我に大したも何もない。
血が流れているなら、清潔にして拭かなければ。
人間というのは脆いんだから。
「少しじっとしててくださいね」
「あ、ありがとう…ございます…」
腕を捲り上げてもらい、傷薬を塗る。
この薬は秘伝だからどこにも売ってないし、万能だ。何にでも効く。
「はい、いいですよ」
「…なんか、ごめんね、お客さんなのに」
「あっ、いえ…私も強引にすいません…。ここにもちゃんと医者がいらっしゃるでしょうし、ちゃんと見せてくださいね」
そうだ。こういう組織に一人はかかりつけの医者がいるはずなんだから。出しゃばるとなんて言われるか…やらかした。
「…医者?」
「えっ?」
山崎さんが驚いたようにこっちを見た。
…まさか、居ない?
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作者名:雪林檎V2 | 作成日時:2019年1月3日 11時