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なんだかんだでそー君も手伝ってくれることに。
…そー君、確か18歳なんだよな。
「…そー君の家族」
「あ?」
「そー君の家族のこと聞きたいなって思って」
「…どうしたんでィ急に」
「きっと優しいんだろうなぁ」
雑巾で窓を吹きながら私は言った。
そー君からの返事には少しの間が空いた。
「あァ、優しかった」
「…嫌なこと聞いちゃったかな」
優しかった。
…過去形ってことは、何かしらが起きたってこと。
「俺が手伝ってやってんでィ、手ェ動かせや」
「うわっ」
雑巾を投げつけられた。
いい感じに絞られているあたり優しいなって思う。
…申し訳なさを感じつつ、少し頰が緩んだ。
「…お前は」
「え?」
「お前の家族はどうなんでィ」
…私の家族か。
「…優しかったよ」
本当の家族はもう誰も居ない。
でも、父さんも神楽も神威も生きている。
生きてるのに、みんな遠い。
「ううん、優し過ぎるんだ」
「…そうかィ」
しばらく沈黙が続いた。
…これはこれで気まずい…
何か、話題ないかな…あ。
「そういえば、真選組の仕事って江戸を守る仕事なんだよね」
「あァ」
話すこともないし、自分語りをするのは気がひけるけどそー君ならいっか。
「そんな組織に、医者として所属できるなんて思っても見なかった」
「医者になりに地球にきたんじゃなかったのか?」
「ううん、違う。どこにいても医者として患者を救えるようになりたかったの。その一歩を踏み出すきっかけをここで貰えた」
窓拭きを終え、押入れに入っていたものを一つ一つ取り出す。使えそうなものばかりでよかった。
「感謝してもしきれない。この恩は医者として返すからまっててくれると嬉しいな」
「…お前、違う星からきた割には日本人見たいな事いうんだな」
「?そうかな?…あ、小さい時よく地球からやって来た人に遊んでもらってたからかも」
「まァ…お前の腕は信頼できそうだし、期待してらァ」
ポン、と肩に置かれた手。
嫌な予感がして後ろを振り返ると、ものすごい勢いで何かが飛んできた。
ペチン、
「…なに、これ」
「なんでィ、もうちょっと驚けよ」
「…そー君」
音の割に柔らかいそれは、意外とツルツルしてる。
見た目は石みたいなのに。
私はそれをもぎ取って思いっきりそー君に投げた。
「ぶべっ」
もちろんクリーンヒットしました。
…ざまぁ(((
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作者名:雪林檎V2 | 作成日時:2019年1月3日 11時