【Free!】あまい恋を召し上がれ。10【短編集】

笑顔に隠された、本性。【橘真琴】 ページ9

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Aside





今日はマコちゃんの家に遊びに来た。


蓮くんと蘭ちゃんに挨拶を済ませて、マコちゃんの部屋に移動した。


適当に座って、とのことなので床に座った。


こういうときベッドに座るとろくなことがない。


マコちゃんにそんな心配はないとは思うけどね。


マコちゃんも床に座り、いつものように微笑んでいる。





「マコちゃん」


「…………」


「マコちゃん？」


「…………」





聞こえているはずなのに返事がない。


相変わらずにこにことしているだけだ。


なんで？


と考えたところで、思い当たる節が見つかった。





「ま、まこと」


「ん、なに？」





やっぱり。


これは昨日の話だけど、マコちゃんがいきなり“真琴って呼んでよ”と言い出したのだ。


軽く流したつもりだったけどダメだったんだな。





「飲み物もらっていいかな？」


「わかった。ちょっと待ってて」





マコちゃんは部屋を出て台所へと向かった。


心の中ではマコちゃんと呼んでも文句は言われないよね。


2分くらいして、マコちゃんが部屋に戻ってきた。





「はい」


「ありがとう、マコちゃん」


「…………」


「……まこと」


「うん、全然いいよ」





意外と意地悪だな。


コップを近づけると、オレンジジュース独特の柑橘類の香りがした。


そして、一口含む。





「んぐっ！？」





言葉に表せない、すっぱさに涙が出てきた。





「な、なにごれ」


「ちょっとレモン汁入れただけだよ」


「ちょっと！？」





いや違う。


明らかにマコちゃんのジュースと色が違うもん。





「ひどいよ！口の中がすっぱい！」


「じゃあ俺の飲む？普通のだから」





にこにこ笑って、自分のコップを差し出してきた。


私がこういうことは恥ずかしがるとわかってて訊いてきてるんだ。


今日のマコちゃんはつくづく意地悪だ。





「い、入れ直すってことは……」


「もうなくなっちゃった」





抜かりない。


恥ずかしいけど、すっぱすぎて涙が止まらないため、仕方なく飲むことにした。


ジュースを、一口。





「ど、どーも……」


「Aって見てて飽きないね」





マコちゃんはくすくす笑って、私の頭を撫でた。





「……意地悪だね」


「そうかな……？」





自覚なしとは、タチが悪い。




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射命丸様リクエスト

上手、なんて口だけで。【七瀬遙】→←口には出さない祝福の言葉。【葉月渚】

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