モノクローム (ページ1)

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一夜目「導き」ページ1

私は色が見えなくなった。

それがいつからかは覚えていない。

ただ一つ分かるのはその瞬間から何かを失った事。
その瞬間から周りからよく心配される様になった。

周りは私の事を冷たいと思っているらしい。
それがどういう事なのかは私には理解ができない。

ただ仕事帰りにその事を考えたりする。
今日もそう。

帰り道を歩きながら黒い空に浮かぶ白い月を見つめる。

そして見つめながら考える。

ただいくら考えても答えが見つからない。

そうやってどうでもいいことを考えていると、背後から子猫の鳴き声が聞こえた。

振り返って見るとそこには小さな白猫が私の事を見つめていた。

私の事を見つめながら鳴いて何かを訴えようとしてる。
近付いて手を伸ばして見ると自ら撫でられに来た。

するとすぐに手から離れて数歩私の前を歩いては振り返り、歩いては振り返りを繰り返す。

私に着いてきて欲しいのだろうか。

そう思い子猫を辿っているうちに近所の公園に着いた。
子猫はその公園にあるベンチに歩み寄ると、飛び乗ってそこに座る。

そしてまた私を見つめる。