結んで、閉じ込めて【一松】 (ページ20)

今日:2 hit、昨日:0 hit、合計:8,005 hit

第19話ページ20

トト「…変だよ」

トト子ちゃんがぽつりと呟いた。

トト「やっぱり、おかしいと思うよ。
嫌な事は、嫌なんでしょ？
猫のためでもニートの為でも、この痕がついてる人が幸せに見えないよ」

A『…』

トト「…それに、恩人の店長の言うことを聞いて、体の関係を持ってるの？
それを、おそ松くんに言ってるの？
それで満足なの？変なことだらけだよ。」

トト子ちゃんは、多分悪気がないと思う。
だからでこそ、その率直な言葉にAちゃんは何も言えないんだろうな…

A『…やっぱり、そうですよね…うん、トト子さんの言うとおりだね…』

おそ「…Aちゃんさ……一松が、好き？」

A『…！！』

おそ「…」

A『……一松さんは、私の癒しです。
少し寂しそうな雰囲気も、繊細な性格も、猫好きの優しさも。彼が来てくれるから私、あの店を離れられないんです。
だから……だから、きっと…』

おそ「…うん。そう。…わかった。」

2人が見つめる中、はぁと息を吐き出し、そして吸い込む。

おそ「……付き合ったら？」

A『…え、でも…』

おそ「ハッキリ言ってやるよ、両想い。
だから早くくっついちゃえよ」

A『…そうですね…私、一松さんに伝えてみようかな』

おそ「うん。応援してるよ。」

トト子「はやく良くなればいいね」

それから他愛のない話をして、解散した。
Aちゃんはどこか吹っ切れたようだった。
タクシー呼んで、Aちゃんが帰ってから俺とトト子ちゃんは歩いて帰ることにした。

トト「あの子、何か変わったかな」

おそ「わかんないよ。でも、変わるだろうな」

トト「変なのよねー」

おそ「ん？何が？」

トト「いつもならトト子より幸せそうじゃない人、見てるの嫌いじゃないんだけどなんでだろう…
今日は……ちっとも楽しくない。」

おそ「…トト子ちゃん…」

トト「あ、雨だ。…はい、どうせ傘ないんでしょ。
…入れば？」

おそ「え？あ、ああ…うん。俺が持つよ」

トト「当然でしょ。ラッキーね。アイドルと相合い傘なんてね…
ねぇ、よかったの？あんな事言っちゃって。
気があったんじゃ無かったの？」

おそ「…正直は。でも、もういいんだ。
彼女が自分の気持ちに向き合えなかった理由って
俺にもあるんだろうし」