結んで、閉じ込めて【一松】 (ページ16)

今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:8,010 hit

第15話ページ16

チビ「(こいつ、とんでもねぇ奴だとは思ってたけど、更に上をいきやがった…)」

一松「しかもね、猫も好きなんだよ。2人だけの秘密の猫。その猫もナルミっていうんだけどさ」

チビ「…なあ、一松…その、おめぇはさ、その子のこと、どう思ってんの？
人として好き？それとも、そのDVDの彼女が好きなのか？」

一松「……もちろん、どっちも。
これが恋なのかなんなのかわかんなくなる。
だけど鳴海は悪魔だ。俺をずーとずーっと虜にする、悪い悪女。
…キヒッ、堪んないねぇ…」

俺は手元にある酒をぐびっと飲む。
酒に映った自分の顔が、すごく歪んだ奴だと思った。

そうだ、そういや…

一松「ねえチビ太。最近おそ松兄さん…来た？」

チビ「おそ松？いいや？最近見てねぇなあ」

ほらね。

思った通り。

一松「…ふふ、今に派手なことになりそう。」

チビ「？…？？」

一松「ご馳走さま、美味かったよ。
それなりに楽しかったし。…ああ、この事はほかの兄弟には言わないで。
男と男の約束だから…」

チビ「おお？…お、おぉ…」

一松「(…ふふ、久しぶりにカフェ…行こうかな)」

ーカフェにてー

一松「ああ、ナルミ…元気？お前、随分生き生きしてるね。
…自慢の長毛…綺麗にブラッシングされてる。
きっと鳴海姉ちゃんのおかげでしょ。
わかるよ。みーんなわかるよ。
…お前にはいてもらわなくちゃならないの。
俺と鳴海が繋ぐ、ただひとつの事実。
ふふふ」

チラリと店を見ると、鳴海はいつも通り接客していた。
…DVDの中ではあんななくせに。

……

キヒッ。

今店内にいる奴らは鳴海の過去を知らない。

知ってるのは、恐らく俺だけ。

そう考えると堪らなく…

興奮する。

一松「…あ。そうだ、

ナルミさ、お前…

メスだったっけな。」

ーその夜ー

おそ「(…よし、あいつら寝たな…)」

…思った通りだ。

長男(こいつ)は決まって火曜の1時にどこかへ行く。
誰にも気づかれず、誰にも言わずにひっそりと。

だけど残念。

俺だけは気づいてんだよなぁ…

まぁ、どこに行こうか構わないけど。

あいつが出ようと靴紐を結んだ時、後ろから声を掛けた。

一松「…ねぇ、どこ行くの」