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悪夢 ページ29

最悪の気分だ。

ここに来て幸せな日々を送って…忘れかけていた嫌な記憶を思い出してしまった。

…最悪だ。

時刻はまだ深夜の1時半過ぎ。

もう一度寝ようと思ったけど…あんまり寝れる気がしない…。

とはいえ、こんな時間にゲームするのも気がひける…。

…仕方ない、あるかわからないけど牛乳とかあればホットミルクにして飲んで寝よう。

音を立てないように部屋から出てキッチンへ向かう。

「あれ…?」

キッチンには明かりがついてた。

「…鬱先生…?」

いつものスーツ姿と違ってラフな格好だったけど、後ろ姿だけでもすぐに鬱先生だとわかった。

「A。どうしたん?」

「あ…えっと、ちょっと…目が覚めてしまって…。」

「そっか。ならホットミルク入れるわ。ちょっと待っててな?」

「は、はい。ありがとうございます。」

お礼を告げて私はソファに座る。

「…あの、鬱先生はどうしてこんな時間に…?」

恐らく格好を見る限り、眠る前か私と同じように目が覚めたかなんだろうけど…。

「あー…まあ、なんか…眠れなかったんよ。」

今一歯切れの悪い回答に疑問は浮かんだが、それ以上は突っ込まないことにした。

「…そう…ですか…。」

なぜだろう、今までこんなことなかったのに…沈黙が重い気がする。

そんな空気の中、電子レンジがチン、と音をたてる。

「はい、お待たせ。」

「ありがとうございます。」

鬱先生から手渡されたマグカップに息を吹き掛けて冷ましてから、口に含む。

少しだけ気持ちが落ち着いた…と思う。

マグカップを机に置くと、鬱先生は私の隣に腰をおろす。

「なぁ、A。ホンマに、眠れなかっただけ?」

「え?」

「…僕の思い過ごしやったらええんやけど…なんか、悲しそうな顔しとったから…。」

…そんな顔、してただろうか。

案外、自分がどんな顔してるかは自分ではわからないものなんだな。

「…嫌な、夢を見たんです…。」

内容を言うべきか迷っていると、鬱先生に体を引き寄せられ、そのまま抱き締められた。

「…鬱、先生…?」

「…内容まではきかんわ、言いたくないこともあるやろし…。でも、胸ぐらいやったらいくらでも貸すで。」

鬱先生のその言葉で我慢できなかった。

気づいたら涙が溢れて止まらなかった。

「…ごめんなさい、鬱先生…。」

「よしよし、Aは悪くないで。」

私が落ち着くまでずっと、鬱先生は私を抱き締めてくれていた。

母親?→←お茶会



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さくらもち(プロフ) - ナズーリン推しさん» おお!そうなんですね!無事見つけていただき感謝です…!面白いと思っていただけたなら幸いです〜! (2022年4月4日 7時) (レス) id: 90940eb018 (このIDを非表示/違反報告)
ナズーリン推し - 前見つけて面白かった奴だ!!やっと見つけた! (2022年4月4日 1時) (レス) @page13 id: 17274a9cd1 (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち@実況者にハマり中(プロフ) - ハレルさん» 最高といっていただけて嬉しい限りです…!完結間近なので最後までお付き合いいただけると嬉しいです…! (2021年10月18日 21時) (レス) id: e24fa9aac3 (このIDを非表示/違反報告)
ハレル - うん。最高。 (2021年10月18日 20時) (レス) @page43 id: 58776279bf (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - さくらもち@実況者にハマり中さん» 了解です!(`・ω・´)ゞ (2021年10月18日 0時) (レス) id: 55536975a6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくらもち | 作成日時:2020年9月14日 2時

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