【WT】警察官【sharkn】

10．すれ違い ページ10

「…Aちゃんは優しいね。俺を傷つけないように、そう言ってくれてるんでしょ？怒っていいんだよ…。俺のこと、罵っていいんだよ。」

…どうして、そんなこと言うんだろう。私は、本当に心からそう思ってるのに…。

「自分のこと、そんな風に言わないでください。シャークんさんは、私を助けてくれて…。悪いのは、私です…。シャークんさんに注意されたのに、ちゃんと早く帰らなかったから…。全部、私が悪いんです…！…助けてくれて、ありがとうございました。」

私はシャークんさんの腕から抜け出すと、シャークんに上着を返して、そのまま家に帰った。後日、警察の人から話を聞かれたけど、私はシャークんさんに会いに行くことはなかった。

…もう、シャークんさんに会わせる顔がない。悪いのは、全部私。暫く学校も休んだ。親からは何も言われなかった。寧ろ心配されるくらいだった。

そろそろ学校に行こうかと鞄の整理をして、シャークんさんについて聞いたメモ帳が出てきた。…折角きいたのに、使う機会なかったな…。

「A、ちょっといい？」

部屋の外からお母さんの声がした。

「何？」

「これ、防犯ブザー。ボールチェーンは壊れちゃったけど、防犯ブザー自体は壊れなかったみたい。また付けたら？新しいのがよければ買ってくるけど…。」

「…ううん、これでいいよ、ありがとう。」

シャークんさんから貰った防犯ブザー。警察の人が届けてくれたのかな。

「それね、シャークんさんが届けてくれたのよ。」

「…え？」

「Aがいなくなったって連絡した時も、必死に探してくれて…防犯ブザーを見つけて、あの廃墟を見つけたのもシャークんさんなのよ。」

…やっぱり、シャークんさんは優しい人だ。だって、そんなに必死に私を探してくれてたんでしょ？…そんなの…。

気づいたら涙が溢れた。このまま、シャークんさんと話せないなんて嫌だよ。好きだ。私は、シャークんさんが好きなんだ。
話せないままなんて、嫌だ。

「A？大丈夫？」

「…うん…。ごめんね、お母さん…。教えてくれて、ありがとう…。…キッチン、借りてもいい？」

「ええ、いいわよ。」

私はキッチンに立つと、とあるお菓子のレシピを読み込む。シャークんさんに、想いを伝えたい。そのために、私ができる方法で、シャークんさんに想いを伝えよう。

「…。」

完成したお菓子を見つめて、わたしは深呼吸。…明日、ちゃんと話をしに行こう…。

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