2.過去 ページ2
『あ、あの!』
『はい?』
『…あの、私…多分、昔…貴方に助けてもらったことがあると思うんです。』
『…ああ、もしかして、夏祭りの時の…?』
奇跡か偶然か、シャークんさんもその時のことを覚えてくれていたようで。
『は、はい!そうです!私、ずっとお礼を言いたくて…!あの時は、本当にありがとうございました!…その、差し支えなければ、名前を聞いてもいいですか…?』
『どういたしまして。俺は鮫嶋
『
『風川さん。家まで送っていくよ、女の子一人は危ないし。』
私はお言葉に甘えて、シャークんさんに家まで送ってもらうことにした。家へと帰る道の途中、シャークんさんは色々なことを話してくれた。
『俺ね、風川さんのおかげで警察官になりたいって思えたんだ。』
『え?』
『あの時、風川さんを助けた時…ご両親に感謝されて、人の役にたてたのが嬉しかったんだ。それで、困ってる人を助けられる優しい人になりたいなって思って…警察官になりたいと思ったんだ。だから、風川さんは俺の夢を見つけてくれた人。さっき、風川さんが俺にお礼を言ってくれたけど…俺からも、風川さんに感謝したい。…ありがとう。』
その時のシャークんさんの笑顔を、私は今も覚えている。シャークんさんに家の近くまで送ってもらい、その日を境に、シャークんさんと会うことはなかった。
高校一年生の春、街の交番に新しい警察官が配属されたと聞いて、私はまさかと思った。気になって、確かめたくて…学校が終わると同時に交番へ向かった。
『…あぁ、また会ったね。』
『鮫嶋さんっ…!本当に、警察官になったんですね…!』
『うん。風川さんのおかげだよ。ありがとう。』
…そして、今日に至るまで私は彼を想い続けている。毎日通ったおかげか、呼び方も“風川さん”から“Aちゃん”に変わったし。
「本当に平和ですよね〜。でもシャークんさんとしてはちょっと物足りないんじゃないんですか?」
「そんなことないよ。確かに、困ってる人を助けたくて警察になったけど…平和なことに越したことはないでしょ。」
確かにシャークんさんの言う通りだ。事件や事故はない方がいいに決まってる。
「それに、平和じゃないとAちゃんとこうしてお話もできないし。」
そう言ってシャークんさんは私の頭を撫でる。
「暗くなってきたし…そろそろ帰る?」
「あ、はい!また来ますね!」
250人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくらもち@実況者にハマり中(プロフ) - にこさん» ありがとうございます〜!初めてのメンバー個人メインだったので不安だったのですが、お褒めいただき嬉しい限りです! (2022年1月5日 18時) (レス) id: e24fa9aac3 (このIDを非表示/違反報告)
にこ - 良すぎるって!! もう好きだ! 更新お疲れ様です! いっぱい見返します!!! (2022年1月5日 14時) (レス) @page15 id: fb825baf6d (このIDを非表示/違反報告)
さくらもち@実況者にハマり中(プロフ) - もみじさん» こちらも高評価をいただけて嬉しい限りです! (2021年12月25日 13時) (レス) id: e24fa9aac3 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - !? 過去最高4位取ってる!?おめでとうございます!!! (2021年12月25日 8時) (レス) id: 55536975a6 (このIDを非表示/違反報告)
もみじ - 更新お疲れ様です…!!いやぁ…本当にお上手ですね…文才が素晴らしい!!!(?)これからも楽しみに待ってます! そうなんですね〜!分かりました!私はさくらもちさんについていきますよ!頑張ってください!応援してます!!! (2021年12月22日 15時) (レス) @page9 id: 55536975a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくらもち | 作成日時:2021年12月22日 1時