滅/ANOTHER DAYBREAK ページ38
あれから、私の世界は目まぐるしく変化した。否、ゼロワンとアークによって急激に情勢を動かされた。不安定な世論に誰もが惑う中で、私は……それでも、断固として滅の傍にあろうとした。たとえ彼がアークに奪われていても。それは自分の意志でもあったし、アークからの滅を人質にした脅迫でもあった。
ヒューマギアと人間の共存を掲げる飛電或人と協力を結んだ迅は、懲りずに何度も私に手を差し伸べた。
「滅は間違った道を歩もうとしている、それはAも分かっているだろう」そう言って。私は否定も肯定もしない代わりに、目も合わせずに告げた。滅をアークから救う役目を任せると。私は、どんな未来を辿ろうとも最期まで滅の傍にいると。
その結果、迅は機体を失い争いは激化した。悪意は連鎖し、憎しみを悲しみを広げた。……私のせいだと思った。滅を好きだなどと宣いながら、真に滅のためにできたことなどゼロに等しい。何より大切な迅と滅を傷つけたのに、どんな顔をして二人に会えばいいのだろう。
仕方なかったのだと正当化することも、アークに責任を押し付けることも簡単だ。けれどこのシンギュラリティは、矜恃に誓って、そんな無様を否定した。惨めに誇りを失った分際で滅の隣に立とうなど、他の誰が許そうとも私が許さない。
だから。
戦争が終わり、滅の元に迅が還ったのを見届けて、姿をくらませた。”A”は自由自律型のヒューマギア。ネットワークに接続しない以上、誰であろうと追うことは不可能だ。
暫くしてハッキングで、滅亡迅雷.netがアークとなりうる悪意の監視任務に就いたという情報を入手した。私たちはテロリストという扱いだったから、扱いを心配していたのだけれど、悪い方には進まなかったようだ。これで心残りも消えた。
滅亡迅雷.netの事実上の壊滅にあたって、姿を消した私は要警戒となっていた。滅と迅の供述から基本は無害と思われているようだが、いつそれが覆るとも限らない。表に姿を見せるべきではないだろう。
……このままどこかの水底で錆び付いてしまおうと思った。デイブレイクタウンは推奨されない。いつか再興計画が実現した時、機体が見つかりデータを奪うか復元されかねないからだ。
ならば、もっと遠い海へ行こう。誰も知らない、見つけられない所へ。
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深月(プロフ) - 横峯俊さん» お久しぶりです、まだ見てくださっていたのですね……！励みになります、ありがとうございます (2021年7月23日 9時) (
レス) id: 48437a73d0 (このIDを非表示/違反報告)
横峯俊(プロフ) - いつも拝見させていただいてます。いつまでも、更新は待っています！ (2021年7月20日 18時) (レス) id: e7388357bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水記 | 作成日時：2020年8月13日 20時
