なぜかモテるようになりまして 3

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「佐藤君、あのね………」


そう話しかけて私は止めた


色々言いたいことはある


これでも強い方だよとか


私なら大丈夫、とか


だけど、その言葉は今必要じゃない


今、必要なのは………



この優しい人を抱きしめる腕だけだ


もう一度強く佐藤君を抱きしめれば、佐藤君はまた私を力強く抱きしめて、そして………


どちらからともなく唇を重ねた


冷たい唇は暖かい部屋にはミスマッチだったけど、それが返って心地よかった


そこからは、あっという間だった


佐藤君の徐々に体温を取り戻す手が、私の肌を撫でて


気づいたら………


お互いがお互いを求めていた



『っ、ずっと………ずっと気になってたんです………！』


絡み合う手


体温を取り戻した唇


熱い吐息


上がる熱


そんな最中、目の前で汗を流す佐藤君は微笑んでこう言った


『入社したての頃、先輩に仕事押し付けられて、何日も終電ギリギリで嫌になりかけた時に

Aさんがデスクに缶コーヒーとチョコを置いてくれて、それだけじゃなくてファイル半分以上の仕事をしてくれて………最初はカッコイイ人だって思ってたんです

だけど、そのうち仕草が可愛いなとか、そういうのが気になり始めて気づいたら好きになって、だけど恋人がいるって聞いて………


でも、別れた上に更に素敵になって、ライバルは風磨君と健人君だし、ちょっと焦ってたんです


だから、だから今………疲れてるのに、この腕の中にAさんがいるってすごく幸せなんです


ねえ、Aさん………』


どうか、貴方のクリスマスをくれませんか？


そう耳元でささやかれて、思わずキュンとなってしまったのはきっと、熱で浮かされたのもあるからなのかな………？


(人間弱るとキュンとしちゃうよね)

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