留守番 ページ1
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夜中、何やらリビングが煩くて起きてしまった。
両親が豪快に酒を飲み、狂ったように笑い、まだ酒の
入った瓶の中身を踊るように撒き散らしていた。
ずっと家にいるのに、生活する金は何処にあるのか、という疑問は その頃の僕にはまだ分からなかった。
幼い僕でもこの状況が以下に酷いものか、理解していたつもりだ。
何度も見ているが、慣れてしまう物ではなく
ただただ隅の方で大人しく座っているだけだった。
いつも、自分の兄はこんな時間帯に帰ってくる。
こんな真夜中に、だ。
ガチャ、と開くドアの音がした。
今日は少し乱暴に開けられた。
家の中から音が漏れてでもいたのだろうか。
兄は凄く不安な顔で 肩を上下に揺らしながら
焦るように息をしていた。
逃げる様にリビングから
兄が居る玄関の方に早足で歩いた。
こんな真夜中に起きている僕を見てか、
兄はギョッとした表情ですぐさま駆け寄って来た。
「煩くて起きちゃった？そっかそっか、
ちゃんとお留守番出来たね、偉いね。」
そう言って、兄はとても優しい手つきで
僕の頭を撫でてくれた。
僕には、頼れる存在は兄しか居なかった。
本当に優しくしてくれるのは、兄しか居なかった。
「もう遅いね、一緒居てあげるから、もう寝よっか。」
僕の頭に乗った手の平をそっと下ろし、
大きな手で僕の手を握った。
兄はすくっと腰を上げて 狭い部屋に向かおうとしていた。
兄の細く、若干筋肉のついた腕は
いつも傷だらけだった。
ぼろぼろの腕。
いつも聞いていた。
兄が家を出る時、僕を独りにする時。
『どこにいくの？』
「ごめんね、すぐ帰ってくるからね。
1人でも、大人しくお留守番してるんだよ？」
いつもいつも、そうやってはぐらかされた。
すぐ帰ってくるから、と言って夜に帰って来るのは当たり前の様な事にも感じてしまった。
多分、聞いちゃいけないことなんだなって思って
最近は聞くのを辞めた。
1度だけ、こんな事を口にした事がある。
『僕はいっちゃだめなの？』
「危ないから、ね。」
僕はまだ小さいから？
頼って欲しいの。もっと、もっと。
いつもの兄さんみたいに
僕を頼って欲しいの。
お願い、教えてよ。
いるま兄さん。
.
続く
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棗 - 面白すぎた！！（驚）次のお話、誕生日より楽しみに待ってます！！ (11月5日 15時) (
レス) @page1 id: ada088a93e (このIDを非表示/違反報告)
千歳 - しょ、ショタですか...？続き待ってます！ (2022年5月8日 18時) (レス) @page1 id: f02eee6231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そーま | 作成日時：2020年12月28日 0時
