第7話 【村雨】 ページ7
眼を開けると、目の前に桜が舞う
此所はぼくが居た場所ではない。神社よりもこう、もっと神聖な感じの場所
……刀がある。それは正しく"ぼく"
すぱん、と障子が勢いよく開く。目の前に立っている人はぼくの姿を見て、座り込んでしまった
『あ、あのう……ぼく、なにかしましたか?』
「否。そういう訳では無いんだが…」
この目の前の人もきっと、ぼくと同じような存在なんだろう
でも、ここまで気落ちしていると何だか申し訳ない気持ちになってくる
大太刀を背中に背負い、彼の後ろを歩く。彼は普通の審神者の感覚で言う初期刀という存在らしい。名前は"岳丸"。歩き回っている間に屋敷内の説明を簡単にしてくれた
『この"刀帳"には、ぼくのなまえや、岳丸のなまえ、ほかのみんなのなまえは のっていないんですね?』
「嗚呼。そして、そんな事が何度も続いているからか、主も切羽詰まっている状態だ」
ふう、と彼は小さく溜め息をつく
『……ごめんなさい、あるじ。こんなにたいへんなときにきてしまって』
「ううん。大丈夫…大丈夫…」
……口では大丈夫、と呟いているけれど全然大丈夫じゃ無さそうだ。寧ろ、もっと大丈夫じゃ無くなった気がする
『ところで、ほかのみんなはどこに?』
「今、この本丸に居るのは俺と主と先程鍛刀された槍の斬田串だけだな。後の皆は出陣中だ。そろそろ帰って来る頃だろう」
本丸内が静かだったのはそういう事だったのか。でも、先程鍛刀したらしい斬田串の姿は見当たらない
『だいじょうぶだよ、あるじ。つぎは、ぼくもいっしょにおいのりしてあげるから。ね!』
まだ、人の身体を得たばかりだからだと思うけれど目の前が少し、くらくらとした
20人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
赤信号(プロフ) - 更新終了しました。 (2019年4月23日 0時) (レス) id: 674c6f2783 (このIDを非表示/違反報告)
赤信号(プロフ) - 更新します。 (2019年4月21日 23時) (レス) id: 674c6f2783 (このIDを非表示/違反報告)
学園運営者(プロフ) - 終わりました。 (2019年3月30日 11時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
学園運営者(プロフ) - 連続で申しわけありませんが更新します。 (2019年3月30日 10時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
学園運営者(プロフ) - 終わりました。 (2019年3月10日 23時) (レス) id: 671ce60c1e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:時の政府(ニセモノ) x他8人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tekitouni
作成日時:2019年1月23日 0時