【小説版】政府未実装しか居ない本丸【刀剣乱舞募集企画】 (ページ15)

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第16話【牡丹切永鶴】※残酷描写注意ページ15

　
_____________ずぱっ！！

帆凪藤四郎の本体である脇差が弧を描き、異形の右腕が宙を飛んだ。絹の布を引き裂いたような絶叫が響く。そして、返す刀で薙刀の心臓を貫いた。

どす黒い血がぱっ、とほとばしり、異形の胸から青く発光するねっとりとした炎がごぽごぽという音を立ててこぼれだした。すると、味方の叫び声に反応したのか、もう一振りの薙刀が帆凪目掛けて突進してきた。

「僕は……お飾りのお守りじゃ無いんですよぉ！！！」

気合い一閃。

体中の毛が総毛立つような光を放ち、白刃が煌めく。稲妻のように早く、氷のように冷ややかに。蛇のように確実に、帆凪の刀は敵の腹を切り裂いていた。まるで丹精込めて磨かれた鏡のような表面に異形の体液が絡み付いている。

どう、という地響きと共に首を奪われた薙刀の首から下の胴体が、地面に倒れた。帆凪は他の隊員たちの元にすぐさま駆け寄り、重傷の者が居ないことを確認すると、大きな安堵のため息をついた。

絶命した敵薙刀の体は黒い煙となり、一瞬にして消失する。すると、胴体があった場所から桜の花びらがぶわりと舞い上がり、一本の薙刀が帆凪たちの前に現れた。

八尺、いや九尺近い大きさの薙刀だ。大薙刀と呼ばれる薙刀の中でも、屈指の大きさであろう。薙刀拵え、つまり柄は漆塗に植物を模した金銀の鍔や金具で豪華な装飾が施されている。

どこの時代の薙刀だろ？…平安か？いや、江戸という可能性もある。戦国っていう可能性は？…と帆凪と国吉が話し合う。そんな中、薙刀の近くにやって来た斬田串はこの薙刀に既視感を感じていた。

一つ、植物を模した美しい豪奢な装飾。

二つ、大薙刀の中でも突出した大きさ。

どこか、何処かで、見たことがあるような。自分には薙刀の兄弟は居ないはずだし、友人にも居ないはずである。だが、どこか、何処かで……遠い昔に、会ったことがあるような。懐かしいような気がしている。しかし、それが何故であるか、それが誰であるかはそれは主である審神者によって薙刀の付喪神が顕現されるまで、解ることはなかった。