第３３話 ページ33
また夢を見た。
この前と同じ"あの子"と歌う夢。
そこにいる私は、シロナと出会う前の痩せ細った身体だけど、表情はとても楽しそう。
あぁ、これは私になる前の"この子"の記憶なのかもしれない。
とても楽しそうに二人は歌っていたが、突然白衣姿の大人たちが部屋に入ってきた。"この子"の表情が一変し笑顔が消える。
それから手を取られて独り別の部屋に連れていかれ、ベッドに座らせられると、身体の至るところに何か装置みたいなものが付けられた。
私は"この子"と気持ちがシンクロするのか、不安になった。恐怖感も出てきた。
目の前で白衣姿の男が言う。"さぁ、今日は楽しく歌ってごらん"と。
"この子"は歌い始める。最初はぎこちなかったけど、緊張が解れてきて少しずつ笑顔になる。
すると突然首の辺りがちりちりとしてきた。歌うのを止めると"何故止めるのか"と男が言う。首の不快感を訴えると男に薬を飲まされた。そしてまた歌わされる。
"この子"の記憶は同じようなことばかりだった。
"あの子"と一緒だったり、歌ったり、薬を飲まされたり、注射を打たれたり、殴られることもしばしば。
それでも"この子"は悲しくも、寂しくもなかったらしい。苦しい思いもしたけれど、でも"あの子"がいたから"この子"は"この子"でいることができたらしい。
"あの子"が大切で大好きな存在だから。
「でもね、もう限界だったの」
気づけば目の前で"この子"が私見ていた。
「ーーーのことは大好き。でも、それ以外は嫌い。がまんできてたけど、いつしかできなくなって、それで逃げ出した。ーーーを置いて。」
それからゆっくり目を閉じた。私は静かに言った。
「疲れちゃったんだね」
「……うん、疲れた。」
それだけ言うと"この子"はふっと消えてしまった。
……………。
あ、名前聞き忘れた。
……………。
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遊星(プロフ) - 璃々さん» 分かりました。更新再開お待ちしてます。更新頑張って下さい。 (2022年8月21日 23時) (
レス) id: ae3c532d92 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - 遊星さん» 楽しみにしていただいて嬉しいです。ありがとうございます。毎日更新はできないかもしれませんが、なるべくがんばりますね！ (2022年8月21日 14時) (レス) id: d7238d7d87 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 更新停止になってますが大丈夫ですか？素敵な話なのに更新停止は勿体無いです。早く続き読みたいです。 (2022年8月19日 22時) (レス) @page7 id: ae3c532d92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃々 | 作成日時：2022年8月13日 17時
