第３２話 ページ32
「ふ〜、いいお湯ね。お肌つるつる♪」
「そ、そうだね…」
「どうしたの？A」
「え、なんでもないよ、いつも通りだよ」
「あら、そう？」
シロナはそう言うと、再び息をはいて空を見上げた。
私はシロナの隣でお湯に浸かってはいるものの、とても緊張している。向かい合って座っているわけではないが、やはり目のやり場に困る。
なぜならあの超美人のシロナと混浴しているのだ！緊張しない人間がはたしてこの世に存在するのか!?
私も空を見上げ、先程シロナがついたものとは違う意味での息を吐く。少しの沈黙の後に私はシロナに聞いた。
「シロナには、兄弟とかいるの？」
「ん？えぇ、妹がいるわ。しばらく会っていないけれどね」
「…そうなんだ。実家に帰ったりとかしないの？」
「そうねぇ…仕事で忙しい人達だから帰っても会えるかわからないしね。それに…」
そう言うとシロナは私に向き直り抱きついてきた。
「今はAが一緒にいてくれるもの！それだけでいいわ！」
「えっ！ちょっと、し、シロナ!?まま待って！と、とりあえず一回離れよ!?」
突然の雰囲気転換とボディタッチに頭が追い付かない。シロナの綺麗な白い腕が回されたかと思うとすでに抱き寄せられていた。待って、お姉さん、当たってます…。
頭の中真っ白な私はよそに、シロナが優しく言葉を落とす。
「離れない。…ねぇ、A。たとえあなたの記憶が戻っても戻らなくても、私にとっては大切な家族同然なの。あなたが私に遠慮することなんて何にもないわ。あなたがしたいこと、知りたいこと私はなんでも応援したい、協力したい。だからひとりで抱え込まないで、ね、お願い」
…本当に、シロナは強いな…。
シロナにゆっくり体重を預けると、優しく頭を撫でられた。
「…ありがと、シロナ」
私は小さく呟いた。
そのあとはいつものように楽しく二人で過ごした。そう、いつも通りに。友達のように、姉妹のように。
夜、なんとなく寝られなくて旅館を抜け出し、温泉が流れるかすかな水音だけがかすかに聞こえる真っ暗な温泉街を少し散歩して。
星空が綺麗だなって空を見上げていたら急に真っ暗になった。
水音も聞こえなくなって。
そこから、覚えていない。
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遊星(プロフ) - 璃々さん» 分かりました。更新再開お待ちしてます。更新頑張って下さい。 (2022年8月21日 23時) (
レス) id: ae3c532d92 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - 遊星さん» 楽しみにしていただいて嬉しいです。ありがとうございます。毎日更新はできないかもしれませんが、なるべくがんばりますね！ (2022年8月21日 14時) (レス) id: d7238d7d87 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 更新停止になってますが大丈夫ですか？素敵な話なのに更新停止は勿体無いです。早く続き読みたいです。 (2022年8月19日 22時) (レス) @page7 id: ae3c532d92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃々 | 作成日時：2022年8月13日 17時
