第３１話 ページ31
その日の夜、夢を見た。
私は歌を歌っていた。
壁も床も天井も全てが真っ白な部屋で。
それでも楽しく歌っていた。
何故なら隣には"あの子"がいるから。
何もない部屋でも、"あの子"が隣で歌ってくれるから寂しくなかった。
あれ…。
"あの子"って、誰だっけ…？
………………………………。
「……っ！…A！」
「んぅ……シぉナ…？どしたの…？」
「どうしたのって、こちらのセリフよ。怖い夢でも見たの？」
強く揺さぶられて目を開けると、シロナが心配そうな顔をしていた。彼女の手が私の顔に伸びると頬を撫でられた。
「私…泣いてるの？」
「気がつかなかったのね。私でよかったら話聞くわ」
「話…よく覚えていない。でも……」
「でも…？」
「……んーん、何でもない！大丈夫だよ、ありがとう！」
なんでもない、というのは嘘ではあるがシロナに心配かけるのも嫌なので、私は空元気を装った。シロナはあまり納得いかない表情だったけれど気にしないことにする。
実際自分でもよくわかっていないし。
「それより、今日の予定は？」
「え、あぁ、今日は温泉行きましょう！昨日たくさん移動したから英気を養わないとね」
「温泉、楽しみだね！準備しなきゃ」
それから準備をして出発。少し行くと昨日空から見た火山がだんだん大きく見えてきた。
「さ、着いたわ。ここがフエンタウン」
「…なんか熱気がふわって感じるね」
「ふふふ、ここは温泉街でもあるの。今日はゆっくりしましょう」
予約をしていた宿に荷物を預け、お土産を見たり、食べ歩きをしたり観光を楽しんだ。
チェックインの時間になり宿へ行くと、私は通された部屋に驚いた。なんと露天風呂付きだったのだ。
「これならゆっくりAと入れるでしょ」
そんな…。
こんな美人と一緒に温泉入るなんて、心の準備何もできてないよ…。
そんな私のことなど気にせず、ルンルンで温泉に入る準備をしているシロナを私は横目に、それでもシロナが可愛く見えて、小さく息をもらした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
遊星(プロフ) - 璃々さん» 分かりました。更新再開お待ちしてます。更新頑張って下さい。 (2022年8月21日 23時) (
レス) id: ae3c532d92 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - 遊星さん» 楽しみにしていただいて嬉しいです。ありがとうございます。毎日更新はできないかもしれませんが、なるべくがんばりますね！ (2022年8月21日 14時) (レス) id: d7238d7d87 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 更新停止になってますが大丈夫ですか？素敵な話なのに更新停止は勿体無いです。早く続き読みたいです。 (2022年8月19日 22時) (レス) @page7 id: ae3c532d92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：璃々 | 作成日時：2022年8月13日 17時
