第２４話 ページ24
「女性に名前を聞くなら、まずは自分から名乗るのがマナーじゃないのかい」
声の主はダイゴさんだった。でもいつもと違い優しい雰囲気はない。むしろピリピリしている。
男の人はたじろぐ。
「え、あ…失礼いたしました。私…」
「いいよ、君はこの子に名乗る資格なんてないから」
ダイゴさんは男の人の言葉を遮り、私の肩を抱いてすぐそこにあったガラス扉を開いてバルコニーへ連れ出した。
ちょうど壁で部屋の明かりも届かない、月明かりだけが頼りの陰に来たところで肩からダイゴさんの手が離れた。
「大丈夫？」
私は頷く。何か言葉を発したら泣きそうだ。
私はふぅ、と息を吐く。すると少し落ち着いた。
「だぃ…ご、ありかと…」
小さく言葉を絞り出す。
「気にしないで。…僕の時はちゃんとシロナさんの所へ逃げたのに、今回は逃げなかったなんてね」
ダイゴさんは苦笑した。もうすっかり優しい雰囲気だ。
私は何も言えなかった。ちゃんと受け答えできるよう、相手の話に聞き入りすぎたせいだろうか。気がついたら恐怖心で動けなくなっていたんだ。
「ごめんね、今の、困らせるつもりは…」
「だぃこ、の、いうとぉり。わたし、だめだね。シロナに、だれにも、めーわく、かくぅるの、だめなのに」
私が黙ってしまったので慌ててダイゴさんが謝ってくれたが、私はその言葉を遮った。だって私がいけなかったのだから。もっとうまく立ち回らなければいけなかったのに、それができなかった。
「Aちゃんは駄目じゃないよ。駄目なのは純粋なのを利用して利を得ようとする悪い人。そして…面倒だからと逃げ出してしまう人…」
「……？。だぃ、ごはいいひと。わたしにとては」
難しい言葉が混じっていてよくわからなかったけれど、なんとなく自身を否定しているような雰囲気を感じた。そんなこと貴方にはしてほしくない。
「Aちゃん…」
「たまには、にけることもひつおう。いつも、ぶ、つかていたらこわれちゃう。たたかわないで、にけるのが、いいときある。だから…さっきはありかと」
ダイゴさんは少し目を見開いた。
「Aちゃん…シロナさんに似て見かけより大人っぽいね」
大人？全然私そんなことないよ！
首をぶんぶん横に振る。
でもシロナに似てるって言われて思わず顔がにやけそうになって、必死で隠そうとしたらちょっとダイゴさんにからかわれた。もう！せっかく元気付けようとしたのに！
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遊星(プロフ) - 璃々さん» 分かりました。更新再開お待ちしてます。更新頑張って下さい。 (2022年8月21日 23時) (
レス) id: ae3c532d92 (このIDを非表示/違反報告)
璃々(プロフ) - 遊星さん» 楽しみにしていただいて嬉しいです。ありがとうございます。毎日更新はできないかもしれませんが、なるべくがんばりますね！ (2022年8月21日 14時) (レス) id: d7238d7d87 (このIDを非表示/違反報告)
遊星(プロフ) - 更新停止になってますが大丈夫ですか？素敵な話なのに更新停止は勿体無いです。早く続き読みたいです。 (2022年8月19日 22時) (レス) @page7 id: ae3c532d92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃々 | 作成日時：2022年8月13日 17時
