ハマの人たちと。【ヒプマイ短編集】

【理鶯】 ページ37

「さぁ、理鶯サンは、来てくれるのかなぁ？」


不敵な笑みを浮かべながら、私の頬を、つ、と触ってくる。

何だこいつ…
理鶯を負かすために私を誘拐したんじゃなかったのか…？


　『…離して』


理鶯に関しては、元軍人といっても、割とほんわかしているけど。
私もM.T.Cのメンツと関係を持っているくらいだから、
ある程度の度胸は持ち合わせているわけで。


　「…テメェ自分の状況分かってんのか？
　 縛られた状態で粋がってても笑えるだけだぞ」


口は塞がないあたり、
ただの人質と思ってるわけじゃないのか…？

…そんなことを考えていられる余裕も、
この男が言うようにあまりないらしく。


　『…っ…！』


そいつは、私の顔に刃物を近づけてくる。
抵抗する術もないし…大人しくしておくべき…だよね

…人よりは肝が据わっていると思うけど。
それでも、私だって女だから。

…怖いと、思わない訳がなかった。


　「…思い知らせてやるよ。ま、殺しはしないから安心しなぁ？」


そう言うと、男は刃物を振り上げ＿＿


　『ッ！！ぁ…い、ッ…』


頬を少し切られたのが分かり、直後は痛みも感じなかったものの、
少しすると、ジンジンとしたジンジン熱さを感じる。


　「ハッ、傷跡が残りそうだなぁ？」


どうしよう、このままじゃ


…助けて

理鶯……っ！



バンッ！！


大きな物音がして、そちらを恐る恐る見てみれば。


　「A！！」


　『理鶯…っ…！』

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