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【銃兎2】 ページ36

「さて、と。どうしてやりましょうか。」



私の縄を解いた後、
地面に伸びる男を冷たい目で見下しながら言う。


…そういえば、さっき、珍しく呼び捨てだったなぁ…
そんなことを呑気に考えられるのも、彼が居るからなんだけど。



 「どうして欲しいですか?Aさん。」

 『いや…どうもしなくていいよ…
  私は銃兎みたくゲスくないし。』

 「私がゲスいみたいに言わないで頂けます?
  彼女に傷つけられて、タダで済むわけがないでしょう。」



…その発言はとても嬉しいんだけれど。

逮捕してくれれば、それで収束する話じゃないのかな…



 『いつも豚箱がどうのって言ってるじゃん。』

 「…貴女はそれで満足なんですか…。どこまでもお人好しですね。」



半ば呆れたように言いながら、私を見下ろしてくる。

本当は、こんな話ができるほどの余裕なんて持ち合わせていないんだけど。
怖くって、まだ少し震えているけど。

銃兎が居てくれるから、大丈夫。
…大丈夫。


 「はあ…。ま、“処理”は後にしましょうかね。…失礼しますよ。」

 『…っ、』


銃兎は、こちらに近付いてきたかと思えば、そっと私の頬に触れた。
その感覚に、痛みを思い出してしまう。

それと同時に、恐怖と、安堵と、
色々な感情が入り混じって、どうしていいのか分からなくなって。


 『ぅ、っ…うぅ…』


 「…もう大丈夫だ。よく頑張ったな。」


私をそっと抱き締めて、背中をさすってくれる。

ああもう、何でこういうときに限って、タメになるかなぁ…
余計に、涙が抑えられなくなる。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


銃兎は、私が落ち着くまで、様子を見てくれていた。

こんな場所で落ち着くことができたのも、彼が居たから…。


 「…で、この男はどうします?
  永遠に眠らせることも可能ですが。」


…相変わらず恐ろしいことを淡々と言うよね。
まあ、私のことを想ってだと思うと、嬉しかったりもするからタチが悪い。



 『いいよ、それは…。
  死んじゃったら、痛いのも苦しいのも、それまでだし。』

 「…貴女、何気に恐ろしいこと言いますよね。
  少々精神が心配になるくらいですよ。」

 『銃兎に言われたら終わりな気がする…気を付けるよ。』



別に私は、頬に傷をつけられたくらいで、
この男を恨む気にはならないし。

…むしろ、銃兎とくっつく機会を与えてくれたことに、感謝するくらいだ。

【理鶯】→←【銃兎】



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百面相(プロフ) - 0077さん» 了解しました!ネタ切れ&スランプだったので有難いです! (2019年3月21日 12時) (レス) id: 94aa678148 (このIDを非表示/違反報告)
0077 - リク応えてくれてありがとうございます!!めっちゃよかったです!!次のリクいいですか?ふと悲しいことを思い出して泣いてしまった。でお願いします!! (2019年3月20日 16時) (レス) id: 7491c8000a (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - 0077さん» 有り難うございます!書き途中のものを仕上げ次第、投稿していきますね! (2019年3月10日 12時) (レス) id: 94aa678148 (このIDを非表示/違反報告)
0077 - 初リク失礼します!!誘拐されて顔に大きな傷をつけられたら。 でお願いします!!更新頑張ってください!! (2019年3月9日 18時) (レス) id: 7491c8000a (このIDを非表示/違反報告)
百面相(プロフ) - 苺大福さん» いえいえ、こちらこそ見てくださって有り難うございます!残る二人も、順次公開していきますね! (2019年3月6日 21時) (レス) id: 06af4ddcfe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:百面相 | 作成日時:2019年1月14日 17時

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